研究課題/領域番号 |
21K01921
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松井 克浩 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (50238929)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 原発避難 / 福島第一原発事故 / 地域コミュニティ / 関係性 / 当事者による支援 / 長期・広域避難 / 原子力災害 / 自然災害 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、原発事故による長期・広域避難の事例をもとに、原子力災害においてはなぜ被災者の生活や心の回復が困難なのか、という問いへの回答を試みる。自然災害と原子力災害を経験した新潟県を主要な対象地として、広域避難者への生活史的聞き取り調査を継続実施し、自然災害と比較した原子力災害の特徴や困難を解明する。その上で、「地域の治癒力」に代わる「関係性の治癒力」の可能性と条件について明らかにする。
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研究実績の概要 |
1.福島第一原発事故からの広域避難者支援に携わる対象者のインタビュー調査を、zoomおよび対面で継続的に実施した。対象者は、新潟県、東京都、岡山県、愛媛県および沖縄県において、支援団体のメンバーとして広域避難者支援に従事している。 2.インタビュー内容は、支援対象の避難者の状況、避難者支援の経緯・現状と課題・今後の見通し、などである。原発事故から11年以上が経過しているにもかかわらず、避難者にとっては、経済面や避難元・避難先での人間関係、将来の生活の場をどうするかなどについて、さまざまな困難や不安が継続している。それに応じて支援者の間でも模索が続いている様子が明らかになった。データについてはテキスト化を実施し、分析に着手している。 3.今回のインタビュー調査対象者の多くは、支援者であると同時に自らが広域避難者でもある。当事者としての支援活動が、被災者自身の復興・再生にどのように結びつくのかが注目される。今後本研究においても継続して注視していきたい。 4.あわせて、これまで収集してきた広域避難にかかわるインタビューデータや文書資料、文献等の検討・解析も進めた。とりわけ避難元と避難先の間で社会関係を十分に築くことができず「宙づり」になっていることが、避難者の苦しさの重要な要因であることが分かる。今後さらにインタビュー調査を継続してこの点を深め、さらには避難者の回復・再生のヒントを探り、「関係性の治癒力」の可能性と条件を探求する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.これまで蓄積してきた、新潟県中越地震等の被災者、および原発事故による新潟県への避難者を対象としたインタビュー調査データの整理と確認・分析を行った。また地域社会学・災害社会学等の文献・資料の解読を進めた。 2.福島第一原発事故からの広域避難者支援に携わる対象者のインタビュー調査を、zoomおよび対面により実施した。 3.新型コロナの感染拡大のため、新潟県柏崎市と福島県南相馬市で予定していた現地でのインタビュー調査を断念せざるを得なかった。その代替としてzoomを用いたインタビューを実施したが、使用環境等により対象を限定・変更せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
1.新型コロナの感染状況も改善しつつあるので、原発避難者を対象としたインタビュー調査を、可能な範囲で対面により実施する。これまでのzoom等を用いたインタビュー調査のデータをふまえて補充調査を実施するとともに、新潟県柏崎市、福島県南相馬市・郡山市・福島市を訪問しての現地調査を再開したい。 2.上記の調査を通じて、原発避難から13年目を迎えてなお、被災者の生活再建が進まず、被害が多様化・複雑化している状況、それに対応して避難者支援も困難に直面している状況を明らかにする。 3.なお感染状況によっては、これまでと同様に、原発避難者を対象としたインタビュー調査をzoomを用いて実施する。
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