研究課題/領域番号 |
21K01924
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
高橋 征仁 山口大学, 人文学部, 教授 (60260676)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 自己家畜化 / 庇護主義 / ポストコロナ / リスク / 脆弱性 / 脱男性化 / 責任の分散 / 新型コロナ感染症 / ワクチン接種 / 国際比較調査 / リスク意識 / レジリエンス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、新型コロナ感染症にかんする国際比較調査にもとづいて、専門家依存や行政依存についての日本的特徴を明確化する。そしてさらに、ポストコロナ時代におけるリスク意識とその規定因について、実証的に明らかにしていく。こうした研究によって、リスク対策における庇護主義の問題点を実証するだけでなく、レジリエンスを高めるうえで、リスク・リテラシーの獲得や市民参加型のリスク対策が重要な役割を果たすことを明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、災害や感染症などに関して、専門家や行政に大きく依存する庇護主義(パターナリズム)の脆弱性を明確にするとともに、市民のリテラシーやレジリエンス向上の必要性や有効性を実証的に明らかにする点にある。 2年目に当たる2022年度の研究においては、日本型庇護主義がもたらした問題点として、原発事故による健康被害、とりわけ小児甲状腺患者の隠蔽という問題を取りあげた。この問題は、巨大災害時に政府が人々に「安心」を提供するために、人々の「安全」を軽視したことによる被害である。今なお社会的支援が乏しいまま、当事者たちは、社会的・心理的・経済的被害まで負わされていることを明らかにした。 また庇護主義がもたらす脆弱性として、COVID-19に関するアンケート調査をもとに、日本において新型感染症による信頼の縮小が生じていたことを明らかにした。 さらに、日本の庇護主義の背景として、団塊世代以降の自己家畜化を指摘した。人工妊娠中絶や自由恋愛を通じて自己家畜化が生じ、日本人の従順化が加速してきたことを明らかにした。このような傾向は、男性顔の脱男性化に典型的にみられる。美男子コンテストの出場者の平均顔を年代別に作成することで、こうした従順化傾向が女性の選り好みと強力に結びついていることを明らかにした。 今後、こうした知見は、全国調査データを用いたコーホート分析によって、より詳細に解明できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
巨大災害や新型感染症による庇護主義の拡大や浸透を支えてきたのは、人類の自己家畜化による従順化や脱男性化であるという見解に至った。
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今後の研究の推進方策 |
統計数理研究所による日本人の国民性調査のコーホート分析によって、戦後日本社会の安定化をもたらしたのは戦後教育ではなく、人工妊娠中絶や恋愛結婚による自己家畜化であったことを明らかにしていく。このような「やさしさの性淘汰」によって、庇護主義が拡大してきたことを実証的に明らかにする。
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