研究課題/領域番号 |
21K01926
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鄭 浩瀾 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 准教授 (40458964)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 日常生活 / 民衆 / 政治 / 社会主義革命 / 歴史社会学 / 中国 / 権力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、民衆の日常生活という社会学の視点から、1950年代における中国の社会主義革命の歴史を再検討するものである。具体的には、1950年代中期および後期の社会主義化運動に焦点を絞り、近年新たに公開された史料と個人史料に基づき、革命イデオロギーや社会主義の管理秩序がどのように民衆の日常生活に浸透し、それに対して民衆がどのように適応していたのかを解明する。それを通してこれまでほとんど知られてこなかった社会主義革命下における中国民衆の生の姿を浮き彫りにし、日常生活と政治との複雑な相互関係のあり方を提示する。
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研究実績の概要 |
2023年度は主に次の4点を中心に研究活動をした。1)国際シンポジウム・ワークショップの開催。2023年7月1日に「中国共産党史研究の最前線:毛沢東主義の再検討」と題した国際シンポジウムを開催した。同シンポジウムでは、スタンフォード大学の教授2名と中国華東師範大学の教授1名を招聘し、日本人研究者との間で、毛沢東主義に関する討論を行った。また、2024年3月25日に「視点と論点:20世紀の中国農村社会の変動をどのように捉えるのか」をテーマとするワークショップを開催した。同ワークショップでは、ハーバード大学の教授を招聘して、日本人研究者との間で中国農村の社会主義革命に関する討論を行った。2)フィールドワークの実施。2023年度は、中国江西省の農村において2回フィールドワークを実施した。地方誌文献を多く収集するとともに、家族と村落の歴史に関するインタビューを実施することができた。3)国際英文学術誌における査読論文の掲載。日常生活における思想改造運動に関する学術論文( “Thought Reform in Daily Life“)を英文査読付き学術誌(Twentieth-Century China、January 2024, pp.47-65)に掲載することができた。4)海外の学術会議での研究報告。2023年10月に北京大学を訪問し、2回研究報告を行った。10月20日に北京大学中華人民共和国史研究センターで、日本における中国基層社会史研究の現状と課題に関する研究報告を行った。翌日の10月21日に北京大学医学人文学院で開催された国際シンポジウム(テーマ:「身体歴史与身体理論」)において、毛沢東時代の農村社会におけるジェンダー秩序の変容について研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
以下の2つの理由により、当初の計画以上に進展しているといえる。1)専門図書の刊行に向けての準備活動。『革命と親密性:毛沢東時代の日常政治』と題する学術図書を編集中である。この本は、日常生活と政治との複雑な関係のあり方を、親密性に注目して考察したものであるが、2024年度に東方書店より刊行される予定である。 2)査読論文の出版に向けての準備活動。農村社会におけるジェンダー秩序の変容に関する研究論文を英文査読学術誌に投稿する予定である。このテーマについて2023年3月に開催された全米アジア協会(AAS)においてすでにパネルを企画し、研究報告も行ったが、2024年度は、査読論文の出版を目指す。 3)国内・国際学会における研究成果の発信。2024年6月15日・16日に開催されるアジア政経学会春季大会において、「革命と中国社会の変容:『日常の政治』の視点から」という分科会を企画・組織した。8月7-10日に津田塾大学で開催されるIFRWH(International Federation for Research in Women’s History)学会の2024年大会において、「Rethinking Rural Women’s Labor under Mao: From the 1950s to the 1970s」と題するパネルを企画・組織した。現在、上記2つのパネルにおいて、研究成果を発信できるように準備している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、研究成果を出せるように努めていきたい。学術図書1冊と査読論文1本のほか、国内学会・国際学会にそれぞれパネルを組織し、研究成果を国内外に発信する予定である。
2024年秋学期からハーバード大学燕京研究所を訪問し、日本、中国、欧米の研究者との学術交流活動を積極的に行う予定です。
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