研究課題/領域番号 |
21K01929
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
石井 香世子 立教大学, 社会学部, 教授 (50367679)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 移民 / 東アジア / 東南アジア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、現地資料(タイ、フィリピン、日本)や、文章化されていない関係者へのインタビュー調査結果の分析を通じて、東南アジアから東アジアへのジェンダー化された女性移民の流れ(エンターテイナー産業やエージェント産業と結びついた広義の再生産労働者の流れ)の構造に、海外既存研究が指摘する「東・東南アジアに特有の、家族や社会に対する女性の犠牲を正当化する伝統的社会システムが近代化に伴い拡大したもの」というよりむしろ、「20世紀アジアに欧米列強/先進国が持ち込んだ社会システムのひとつ」という側面もあることに光を当てる。
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研究実績の概要 |
今年度の研究業績としては、東・東南アジアにおける女性移民やそれに付随して必然的に生じる子どもの移民に関して、2本の論文を出版した。ひとつめは女性移民に関する論文であり、移民研究ジャーナルのひとつであるInternational Migrationに掲載された“Remarriage migration of women in Asia: The case of Japan” (Doi: 10.1111/imig.13090)である。本論文では、東・東南アジアにおける女性移民の流れは、ただ単に「貧しいアジア(the Global South in Asia)」から「豊かなアジア(the Global North in Asia)」へという流れだけではなく、「豊かになったアジア」社会もまた女性移民の送出し地となっている点を指摘した。そして、女性移民の流れの背景には、ただ経済的なものだけではなく、より複雑な文化社会的な構造要因がある点を指摘した。 またふたつめの論文は、4人の研究者(hacel Salazar Parrenas, Nicola Piper, Sari K. Ishii, Carolyn Choi)による共著の”Guest Editor’s Introduction Children and Youth in Asian Migration”である。Duke大学出版会から出版されているアジア研究ジャーナルPositions Asia Critiqueに掲載された本稿は、東・東南アジアにおける“子ども”や若者の国境を越えた移動に関する、特集号の総括部分である。本稿では、教育、言語、市民権とアイデンティティについて、制度と実践、主観と客観の乖離のそれぞれから分析した。 両論文とも、今後の本研究プロジェクトの重要な視座を提供しているといえよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビュー調査、現地史料発掘調査については、本年度(2022年度)も、夏から秋の時点では各国の新型コロナウィルス感染症拡大防止にかかる入国規制措置や部分的規制措置が残っており、予定してきたアメリカでの長期史料調査、フィリピンとタイでのインタビューを核とした長期現地調査は実施できなかった。しかしその代わりに実施した沖縄県でのインタビュー調査からタイ・フィリピンにつながる実証研究の鍵となるネットワークの結節点が見つかり、研究として大きな進展が見られた。 また文献調査については、海外調査へ行くのがままならなかったこの2年間を通じて予定以上に進んだ。総合的には、今後残された2年間で海外調査を集中的に実施することで、予定期間内での研究プロジェクト成果を果たせる可能性が見えてきたといえよう。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、前半2年間で実施できなかった海外調査の実施と並行して、新たな調査地として重要性を帯びてきた沖縄での調査を重点的にこなすこと、それと同時並行とならざるを得ないが可能な限り論文化を進める予定である。 研究プロジェクト年目となる2023年度は、何をおいてもまずは夏から秋にかけての時期をできる限り有効に利用して調査を実施することに力を注ぎ、プレ調査と本調査をできるだけ進める予定である。また2024年度も最終年度とはなるが、本調査とフォリーアップ調査をできる限り進める。2024年度の秋までにどれだけ調査結果が得られたかを精査し、その時点から論文を本格的に執筆しても研究成果が形となるよう全力を尽くす所存である。それを可能とするために、2023年度、2024年度を通じて、調査を実施しながら史料・情報整理と論文執筆へ向けた準備をできる限り進めていくものとする。
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