研究課題/領域番号 |
21K01937
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 関西学院大学 (2022-2023) 近畿大学 (2021) |
研究代表者 |
安達 智史 関西学院大学, 社会学部, 教授 (90756826)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ムスリム女性 / マレーシア / スポーツ参加 / 大学生 / ポスト世俗 / 国際スポーツ組織 / スカーフ問題 / 女性ムスリム / スポーツ / 言説 / ポスト世俗化 / エージェンシー / 西洋・近代 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、宗教と世俗が開かれた関係にある「ポスト世俗化」という時代認識を踏まえつつ、現代の女性ムスリム(=イスラーム教徒)のスポーツとの関わりについて分析するものである。具体的にはイギリスとマレーシアの女性ムスリムを対象に、そのスポーツ参加をめぐる言説・制度・組織的取り組みに加え、その影響下にある女性のスポーツ参加の実態とその意味づけについて探究する。そこで、スポーツ参加が女性たちの「宗教的アイデンティティ」や「市民社会における主体」といかなる関係にあるのかを解明する。以上のスポーツ参加を通じた女性ムスリムの身体=主体形成の分析から、ポスト世俗化の現状を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、コロナ下において計画・実施が滞っていた、実地調査を主に遂行した。2023年8月に、マレーシアの二つの国立大学のスタッフと調査・研究打ち合わせをおこない、2024年3月、そのうちの一校で実際に調査をおこなった。そこで、スポーツ活動に従事するマレー系の女性の学生および教員への聞き取りを通じて、彼女たちのスポーツ歴とその経験について聞き取った。結果、マレーシアにおける女性のスポーツ参加をめぐる肯定的な経験が聞かれた。また、女性性と筋肉といった身体のあり方は部分的に対立する一方で、ほとんどの参加者は、それを大きな問題とみなしていなかった。その理由として、マレーシアにおける女性のスポーツ参加をめぐる肯定的な考え、およびムスリム女性が着用する衣装(=ボディラインがわからない全身を覆う衣装)があげられた。 加えて、本研究の背景となる内容を含む論文(書籍における分担執筆)を執筆した。そこで、ヨーロッパを中心とする現代社会におけるムスリム女性のスポーツ参加をめぐる現状について論じた。とりわけ2010年代に入り、ムスリム女性の宗教的ニーズに配慮した、ユニホームをめぐるルール規定が国際的なスポーツ関連団体(e.g. 国際オリンピック委員会、国際フットボール連盟)で導入されていることを示した。その一方で、現実には、ムスリム女性のスポーツ参加割合は低調であり、その包摂をめぐり改善されるべき社会的課題について明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響により、これまで実地調査をおこなうことができなかった。ただその間、本研究をめぐる先行研究のレビューや関連する基礎的研究を地道に進め、本年度、研究全体の背景となる内容を含む論文を出版することができた。また、マレーシアで集中的に調査をおこなうことができ、イギリスにおける調査についても現地の関係者と打ち合わせがなされている。以上から、本研究は、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度、スポーツに従事するムスリム女性を対象にした、マレーシアのもう一つの国立大学におけるインタビュー調査、およびイギリスにおける民間団体の協力によるインタビュー調査を予定している。
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