研究課題/領域番号 |
21K01965
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
通山 久仁子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 准教授 (60389492)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 発達障害者家族 / 親亡き後 / 当事者組織 / 意思決定支援 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、発達障害者家族を対象として、「親亡き後」の生活課題・生活支援ニーズを明らかにし、そのニーズに応じた支援体制を「当事者」組織を主体として構築していくための具体的な方策を提示することである。 具体的には、障害当事者と親の双方の視点から「親亡き後」の課題やニーズについて明らかにし、「親亡き後」の支援体制に必要な資源の開発、ネットワークの構築について、先駆的な事例を参考に検討する。これをふまえ、「当事者」組織を主体とした「親亡き後」の支援体制とそこにおける「当事者」組織の役割を提示する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、発達障害者家族の「親亡き後」に関する生活課題や生活支援ニーズを明らかにするため、発達障害当事者へのインタビュー調査を実施した。インタビューは、当事者団体の代表1名(70代)、団体が運営するピアサポート、カフェ事業のスタッフおよび利用客13名(40代5名、50代5名、60代3名)を対象に、実施した。 インタビューの結果、自身の将来への不安として、就労の継続への不安、それに伴う収入への不安、住まいの維持への不安、健康不安などがあげられた。中には、発達障害の特性である人間関係を築くことの困難から、孤独死への不安をあげる人もいた。次に親の将来への不安としては、主に介護問題があげられ、その際の費用負担や、きょうだいとのケアの分担への不安などがあげられた。「ケアが必要となった親を障害者がケアすることは難しい」や、これまでの親子関係の不和から介護を担うことへの葛藤を語る人もいた。発達障害については家族性が指摘されているが、アダルトチルドレン様の成育歴をもつ人も多いことから、通常以上に親の介護に対し、葛藤を抱える場合があることが考えられた。さらに親の死亡時や相続の手続きに関する不安もあげられ、そうした相談をできる相手がいないといったニーズもあげられた。 現在そうした課題に対して団体で行われていることとしては、代表による生活保護申請への同行や、保護者への相談、詐欺被害からの救済や、社労士等を招いての障害年金申請相談等があげられた。利用客の中には、この場でしか障害を開示していないという人もおり、カフェが「いつでも行ける場所」であり続けてほしいといった要望も語られた。団体が居場所と思える場であるからこそ、困った時の相談窓口のひとつとして機能することが可能となり、さらに当事者団体が専門職等との連携を強化することによって、課題やニーズへの対応が可能となることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度当初の計画では、発達障害者家族の「親亡き後」の生活課題・生活支援ニーズを検討するため、「障害当事者」と「親当事者」の組織、双方のリーダー及び会員を対象としたインタビュー調査を実施予定であった。しかし「親当事者」組織を対象としたインタビューは実施することができず、「障害当事者」組織へのインタビューのみとなり、障害当事者と親双方の視点からの支援ニーズを分析することができなかった。 ただ、これまでの先行研究においては、「親亡き後」の生活課題・生活支援ニーズは、親や支援者の視点で語られることが多く、障害当事者の視点で語られることは稀であった。今回のインタビュー調査を通じて、親のケアを担うことへの葛藤など、従来の研究にはなかった当事者の視点からの支援ニーズが明らかとなった。障害当事者自身から「親亡き後」の課題やニーズを聴き取ることの重要性が再確認されたため、次年度以降も障害当事者を対象としたインタビュー調査を蓄積していくこととしたい。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、①発達障害者家族の「親亡き後」の生活課題・生活支援ニーズについて、障害当事者の視点からの支援ニーズを明らかにすることを課題とする。さらに②障害者家族の「親亡き後」の支援体制のある先駆的事例への調査を実施し、必要な体制や資源について分析を行う。以上の調査結果に基づき、③発達障害者家族の「親亡き後」の支援体制について検討し、「当事者」組織が担える機能、役割について検討することを課題とする。 まず①については、2023年度に引き続き、「障害当事者」の団体のリーダーおよびその会員等を対象としたインタビュー調査を実施する。2023年度の調査では、家族構成や当事者の就労の有無等によって、課題やニーズに個別性があることが明らかとなったため、さらに対象者を増やし、きょうだいの有無や、福祉サービスの利用の有無等を含めて類型化し、課題やニーズについて分析を進める。 次に②について、障害者家族の「親亡き後」の支援では先例のある、知的障害者を対象とした支援体制を構築している自治体や団体に対してインタビュー調査を実施し、必要なフォーマルおよびインフォーマルな資源の開発、およびネットワークの構築について検討する。 以上の①②の調査結果をもとに、③について、発達障害者家族の「親亡き後」の支援体制構築に向けた現状と課題を分析し、必要な支援や体制について検討する。そして現在、ピアサポートや居場所づくりの活動が主流となっている「当事者」組織の活動が「親亡き後」も継続して有効な支援となり得るにはどのような取組みが必要か、「親亡き後」に関わる支援ニーズに応じてどのような体制を創り出していく必要があるのか、「当事者」組織の機能や役割について検討する。
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