研究課題/領域番号 |
21K01966
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
松繁 卓哉 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (70558460)
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研究分担者 |
吉田 澄惠 (吉田澄恵) 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (10279630)
牛山 美穂 大妻女子大学, 人間関係学部, 准教授 (30434236)
孫 大輔 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40637039)
畠山 洋輔 東邦大学, 医学部, 助教 (80830182)
本林 響子 お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, 准教授 (40772661)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 熟議 / 対人支援 / アクションリサーチ / 看護 / コミュニケーション / ケア / 医療 / 相互理解 / 納得 / 対話 |
研究開始時の研究の概要 |
福祉・保健・医療・教育ほか、様々な対人支援の現場において、支援される側の内面理解を丁寧に行っていくことが質の高い支援/ケアを実現するうえで不可欠であるが、今日のシステマティックに整備された専門職実践のワークフローの中で、そうした内面理解の作業が簡略化されることは今日でも少なくない。医療機関における「5分診療」などは、そうした状況を示す例といえよう。本研究は、相互理解と合意形成の新たな方法論として注目されている「熟議(deliberation)アプローチ」を基盤として、これを対人支援の現場において活用できるように再構成したコミュニケーション手法を開発する。
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研究実績の概要 |
2021年度に開始した本研究は、3年目を迎えた本年度、いくつかの新たな取り組みを展開した。 第一に、対人支援領域の実践を対象に、これまでは、看護師・薬剤師・ピアサポートの実践者にご協力いただき、熟議アプローチの活用に関する知見の蓄積に従事してきた。これに加えて2023年度は、理学療法士の方々のご協力を得て、実際に理学療法実践に関する熟議を試行し、新たな知見の獲得に取り組んだ。 第二に、初年度および2年目の研究成果をまとめ、研究者らを集めて、ラウンド・テーブル・ディスカッションの形式で、発表と意見収集を実施した(2023年5月.第49回日本保健医療社会学会大会「ラウンド・テーブル・ディスカッション医療・福祉の場における「熟議アプローチ」の理論と実践―対人支援の現場に活かすためには―)。 これらの新たな取り組みを含め、本研究が継続してきた熟議研究会において収集した調査票および逐語録のデータを作成し、研究班の間で共有し、現在、分析を進めている。 分析においては、以下の点に焦点を当てている。第一に、政治的意思決定の場面で用いられてきた熟議のアプローチを、対人支援実践のために再構築すること。第二に、従来の医療コミュニケーションで重視されてきた「問題解決」や「意思決定」においては取りこぼされてきたような人々の生きづらさの「複合的課題」・その複雑性を丁寧に解きほぐしていくために、熟議の特性を生かすことである。 今後は、得られた知見の分析を通して、熟議の応用・実践を教育現場で伝授していけるよう教育プログラムとして構築する。一連の作業を通じて、対人支援現場の相互理解に重点を置くアプローチを開発する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、申請書に記載したとおり、熟議アプローチの実践を継続し、アクションリサーチとして収集してきたデータや、質問紙調査の結果等を取りまとめ、それらの取り組みの評価に着手した。 こうしたことから、本研究の現在の進捗状況は概ね順調であると考える。今後、分析を本格化し、プログラム内容の一層の精査を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、これまでは政治的意思決定の場面で用いられてきた熟議のアプローチを、対人支援実践のために再構築し、対人支援に従事する人々とその支援対象者の間の相互理解を促進することを目的としている。 このアプローチの評価を適切に行うために、従来の医療コミュニケーションで重視されてきた「問題解決」や「意思決定」とは異なる方向で独自の評価指標を考えることが必要となる。この作業においては、診療ガイドラインの作成における患者参加について業績を有する研究分担者の畠山を中心に、既存の対人支援に関する評価方法の批判的検討が可能となる。 また本研究では、熟議アプローチの実践手法を進めることのできる人材を育成するための教育プログラムの開発も計画の一環として含めているが、この作業については、看護教育に携わる研究分担者吉田および医学教育に従事する研究分担者孫らを中心に作業を進めていくなど、研究遂行のために体制を整えている。
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