研究課題/領域番号 |
21K01974
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
|
研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
富田 文子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (80847939)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 企業就労 / 障害者 / 雇用形態 / 賃金体系 / 職務評価 / 一般就労 |
研究開始時の研究の概要 |
障害者が企業で雇用される場合、限定された職務での採用(ジョブ型採用)が多く、また生産性のある業務とは限らないことから、労働の評価が見えにくいと考えられる。現存する企業と障害者との職務評価におけるギャップを埋めることで、障害者の雇用を維持・確保しながら、職場定着率を高めると同時に、障害者個人のライフステージに合わせた生活の実現に貢献できる。そのために、職務評価の指標等の開発・検討を行う。
|
研究実績の概要 |
本研究は、企業就労する障害者の労働は、どのように評価されているのか、どのように賃金や雇用が決定されるのかについて明らかにし、障害者の雇用形態や賃金体系を基盤した職務評価のモデル指標の作成を目的としている。低賃金の障害者雇用における質的改善は、障害者もライフステージに応じた生活の実現を目指すことに向けた重要な社会的課題である。今後、障害者雇用においても人材の流動化が増すと考えられ、企業の維持向上には、積極的な人事評価制度の構築が必要であり、企業就労を目指す障害者とその支援者にとっても、明確化された職務評価に対応できる技術・知識等の獲得と自らの生活設計の意欲が醸造され、より障害者雇用の拡大に効果をもたらすことができると考える。 2022年度前半は、新型コロナウイルス流行の影響を鑑み、調査を自重した。そこで、文献調査・先行研究から、特に賃金の低さが顕著である知的障害者に焦点を絞り、低賃金の要因分析を行った。結果として、①雇用される職務や職種といった労働市場の特徴、②職場や企業・社会という「周囲」の意識の固定化、③ライフキャリアに関する未学習・理解不足等による知的障害者(及び家族)が低賃金の状況に甘んじていること、④障害者雇用率や障害年金制度による所得保障といった制度の固定的考え方という4つの要因が原因として考えられた(日本職業リハビリテーション学会第49回にて報告済み)。論文化を予定する。 2022年度後半は、年度末にかけて、障害者及び支援者の雇用形態及び賃金体系の構造と人事評価制度に関するインタビュー調査を特例子会社10社に対して実施した。その結果は、今夏以降に複数の学会にて報告予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
低賃金の要因の分析の後、2022年度末(1月~3月)にかけて企業に対するインタビュー調査を実施したため、今後は結果の分析を行う。当初の予定から変更し、インタビュー調査結果から質問紙を作成した後、2023年度はアンケート調査の実施を予定している。 企業就労を希望する当事者、就労支援機関の支援者に対する調査は、安定的な雇用動向を基盤に行われているため、協力機関との調整を行いつつ、当初想定していた対象者よりも限定して実施を検討する。今後は研究方法に修正を行い、かつ、研究期間の延長を視野に、実施していく。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度に実施した障害者の低賃金の要因について、論文投稿予定である。 また、年度末にかけて実施した、特例子会社における障害者及び支援者の雇用形態及び賃金体系の構造、人事評価制度に関するアンケート調査及びインタビュー調査結果は、今夏以降に複数の学会にて報告予定である。各企業への質的調査及び量的調査を組み合わせて職務評価の構造から、各企業固有の職務評価の共通性・特異性についてフレームワークの可視化に取り組む。それをもとに、企業における障害者の雇用形態や賃金体系に関する実態調査(アンケート調査)を行う予定であるが、対象者を限定して実施する。 加えて、低賃金が顕著である知的障害者のライフステージに応じた支援についてのワークショップ等の開催を予定する。
|