研究課題/領域番号 |
21K01983
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大島 隆代 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授(任期付) (70523132)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | スーパービジョン / スーシャルワーク実践 / 支援者の当事者性 / 支援者と支援対象者の関係性 / 被災者への福祉的支援 / 広域避難者支援 / ソーシャルワーク / 支援者へのスーパービジョン / 災害福祉支援活動の体制整備 / 被災者支援 / 広域避難者 / 支援者 |
研究開始時の研究の概要 |
東日本大震災の福島第一原発事故の後に、従来の居住地から離れて広域な遠隔地に避難した被災者が多く存在し、その避難生活は現在も続いている。 避難したかたがたの生活の困難に寄り添っていく支援者の中には、「復興支援員」と呼ばれる人たちがいるが、復興支援員は、それまでの実践の事例がない中で、支援のあり方を模索し、時には避難者自らが支援員となっているケースもある。 支援員のかたがたが、実践において疲弊したり困難を抱え込んだりしないように、支援員への支えが必要になっている現状を明らかにしつつ、支援員への支えをスーパービジョンのプログラムとして明確化し、今後の避難者支援に役立てていきたい。
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研究実績の概要 |
本年度は、ソーシャルワークなどの福祉実践及び近接領域の対人援助職が支援を円滑に継続していかれるためのスーパービジョンのあり方に関する先行研究等の解題を継続して行った。また、福島県第一原発事故による広域避難者に対して見守り支援を継続して行っている、復興支援員に対して、対面およびオンライン形式でのインタビュー調査を実施した。 インタビューからは、支援者自身にもあるといえる当事者性よって、支援対象者への理解が深まり支援を円滑に進めていくことに寄与していることが明らかになった。復興支援員の中には、自身も広域避難者であるかたもおり、支援者が当事者でもあることで、支援対象者の心のうちを理解することができ、支援の方向性を一緒に考えていくという姿勢を取りやすいことが明らかになった。 しかしながら、当事者性による支援の促進だけではなく、時には、当事者性によって支援が円滑に進まないケースもあることも少なからず散見された。それは、支援対象者からの拒否という形ではなく、福祉実践を職業的に専門にしている人たちから、当事者性が専門性ではないのではないかという理解をされてしまうという事例であった。 ソーシャルワーク実践のなかには、セルフヘルプグループなど、当事者性が有効に働く実践の構造もあるため、支援者へのスーパービジョンを実施するには、支援者の当事者性をどのようにくみ取っていくか、また、それをスーパービジョンにどう生かしていくかを考察する必要があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は研究2年目であったが、コロナ禍での感染症対策も求められたことから、インタビュー対象が複数名と少人数であった。また、フィールドワークを実施することがかなわなかった。 しかしながら、先行研究等の文献等の解題も併せて継続し、インタビュー結果と照らし合わせたことにより、ソーシャルワークのスーパービジョンに関しては、例えば、ソーシャルワークの支援者が支援対象者の理解を深めることには、支援者の中にある当事者性が少なからず影響を及ぼしていることも明らかになった。そして、この点については、先行研究があまり見られないという新しい視座も得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2023年度)は研究最終年度となるため、引き続き、研究調査の対象となるかたへのインタービューやフィールドワークなどの調査を中心に実施していく。インタビューは、オンラインだけではなく、状況をみながら、できるだけ対面で実施していく。 また、調査対象者を調査結果などの分析と並行して類型化しながら、支援構造を明らかにすることと、支援者へのスーパービジョンのあり方についてソーシャルワークの視点で提言を行いたい。 さらに、支援者をする側の当事者性に関する先行研究を解題しながら、当事者性があることの支援の効果的影響と、原発事故という災害に対して広域避難を余儀なくされたかたがたの生活を支えるということを、事例や調査結果などを一般化しつつ考察していく。
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