研究課題/領域番号 |
21K01989
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
植田 嘉好子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (40612974)
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研究分担者 |
田中 彰吾 東海大学, スチューデントアチーブメントセンター, 教授 (40408018)
村井 尚子 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (90411454)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ソーシャルワーク / 現象学 / 質的研究 / 経験の意味 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現場のソーシャルワーカーが現象学を活用するための研修モデルの構築を目的とする。現象学は人間の現実経験から事象の意味を明らかにする哲学であり、ソーシャルワークに求められる対象者へのホリスティックな理解や、社会変革に向けた既存のパラダイムの転換には現象学が有効である。そこで本研究では、他分野(心理学・教育学)の研究者との学際的な研究体制を整え、ソーシャルワーク独自の研修モデルの構築にむけて、次の3調査を計画している。 ①ソーシャルワーカーの実践経験の現象学的解明 ②北米における現象学的ソーシャルワーク研究の指導方法についての現地調査 ③ソーシャルワーカーが現象学を学ぶためのアクション・リサーチ
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研究実績の概要 |
研究2年目として、1年目に実施した文献調査を国際学会(39th International Human Science Research Conference)で発表し、ソーシャルワークにおける現象学研究の動向や意義について発信した。医療や心理、教育など他領域を含む海外研究者らと現象学的研究について議論することによって、ソーシャルワークの特質をより鮮明化する成果があった。これを基に、原著論文として国内雑誌(『社会福祉学』)に発表し、日本でほとんど取り組まれていないソーシャルワーク実践の現象学的研究への道筋を開いた。 また研究1年目に予定していたがコロナ禍で実施できなかたった、ソーシャルワーカーへのインタビュー調査を実施した。急性期病院に勤務する救急認定ソーシャルワーカー(Emergency Social Worker)3名から、専門職としての経験を深く聞き取り、現象学的分析を進めた。ここから本研究課題である現場ソーシャルワーカーがどのような実践や課題に現象学を活用することができるか、研究分担者とともに検証していく。 今後は、海外の現象学的研究指導の知見をさらに研究し、日本のソーシャルワーク実践に即した研修モデル構築に向けて、アクションリサーチの準備を進める計画である。特に令和5年度は、現象学的研究に関する国際学会を日本に招致し、ソーシャルワークの現象学的研究への関心を高める契機とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の前提となる文献調査「ソーシャルワークにおける現象学的研究の役割の検証」は、医療福祉の質的研究会での議論や、臨床実践の現象学研究会における発表、さらに国際学会での発表を通して内容が精査され、原著論文として成果の公表に至った。 一方で、本研究が調査対象とする現場ソーシャルワーカーは主に医療福祉機関に勤務しており、新型コロナウイルス感染拡大防止対策により調査者が現場に入ることができず、感染状況が落ち着くまでインタビュー調査が実施できなかった。 そのため、研究計画では1年目に「ソーシャルワーカーの実践経験の現象学的解明」を予定していたが、2年目以降にずれ込むことになった。しかし、その間に対象者のサンプリングや調査項目を充実することができ、インタビューデータは質の良いものを収集することができた。現在、現象学的分析を進め、結果の発表を準備しているところである。 また2年目に計画していた「北米における現象学的ソーシャルワーク研究の指導方法についての現地調査」も、新型コロナウイルス感染拡大によって調査先との調整がつかず、実施できなかった。3年目に延期するか、別の方法に計画変更するか検討中である。 以上のことから、やや遅れているとして進捗状況を報告する。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、日本で国際学会を開催し、ソーシャルワークにおける現象学的研究を拡大させる契機とする。研究分担者の田中教授(心理学)、村井教授(教育学)との協力で、第40回国際人間科学研究会議を企画・開催し、ソーシャルワークと他領域との共通性や相違について議論する予定である。海外でソーシャルワークに取り組む現象学研究者から基調講演とシンポジウムでの登壇を予定しており、日本でもその意義や実践方法について発信し、理解を広めることをねらいとしている。 これによってソーシャルワークにおける現象学的研究の裾野を広げると同時に、ソーシャルワーカーへのインタビュー結果に基づき、現象学的研究を実施するための研修モデルの骨子を構想する。講義内容や個別指導の方法など、現場ソーシャルワーカーが現象学を活用するために必要な内容を検討し、アクションリサーチの準備を進める。
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