研究課題/領域番号 |
21K01992
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金 成垣 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (20451875)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 韓国 / 後発福祉国家 / ベーシックインカム / アジア / 脱キャッチアップ / 社会保険でないもの / 福祉国家 / 社会保障 / 社会福祉 |
研究開始時の研究の概要 |
ベーシックインカム(Basic Income、以下、BI)は、「政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされる額の現金を無条件で支給する制度」である。本研究においては、韓国で最近盛んになっているBI構想に着目して、そのBI構想を生み出した政策的文脈をどう捉えるか、BI構想の具体的な内容は何か、また、そのBI構想がもたらす新しい福祉国家への道は何か、という問いを設定し、後発福祉国家論の視点からその答えを探ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究においては、韓国で最近盛んになっているベーシックインカム(以下,BI)構想に着目して、(1)近年とくにコロナ禍の韓国で急速に広がっているBI導入論とその実験的実施の実態を把握し,(2)韓国におけるBI構想の政策的文脈とその意味を後発福祉国家論の視点から検討し、それをふまえて、(3)BIをめぐる韓国の経験が、韓国およびアジアにおける後発福祉国家のゆくえに対して示す理論的および政策的インプリケーションを明らかにすることを目的とした。 最終年度である2023年度には,前年度までの研究成果をふまえて,論文「韓国福祉国家とアジア(上・下)」(『アジア時報』55(1・2/3),2024 年2月/3月)を通して,(1)と(2)に関する論点をまとめつつ,(3)の課題に取り組んだ。同論文とともに研究期間全体を通じて実施した研究の主な論点を簡単にまとめると次の通りである。 韓国は、20世紀末のアジア通貨危機に発生した大量失業・貧困問題や21世紀に入って急進展した少子高齢化をきっかけに、先発国の経験を参考しながらそれらの問題に対応するための諸制度・政策を整備し、後発国として福祉国家化に乗り出した。しかし、それらの制度・政策が、韓国が抱えている問題にうまく対応できず、むしろ問題がさらに深刻化する状況が見受けられる。コロナ禍でその問題がより鮮明なかたちで顕在化している。韓国におけるBI構想は、そのような状況を打開し、新しい福祉国家への道を模索するために生まれた政策構想であった。重要なのは、韓国におけるBI構想が,先発福祉国家の歴史的経験からの脱キャッチアップを意味すると同時に、そこには、福祉国家そのものから逸脱しようとする動きも読み取れることでである。そして、そういった韓国の状況が、韓国のみならず、アジアにおける他の後発国にも多かれ少なかれ共有されていることにも注目すべきである。
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