研究課題/領域番号 |
21K01999
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
陳 麗ティン 目白大学, 人間学部, 准教授 (20649545)
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研究分担者 |
田中 敦士 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (40347125)
星野 晴彦 文教大学, 人間科学部, 教授 (70453438)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | カルチュラルコンピテンス / ジレンマ / ソーシャルワーク / 通訳 / エンパワメント / 婚姻移民 / 技能実習生 / 多文化共生 / 多様性の尊重 / 危害を加えない / グローバル定義 / 台湾 / スウェーデン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ソーシャルワーカーの目線から、台湾、スウェーデン、日本の3国の多文化共生に向けたソーシャルワークにおけるカルチュラル・コンピテンスの実践の比較を行い、その形成過程について明らかにすることである。特に本研究ではジレンマの克服のプロセスに焦点化して、4つの段階に着目する。それは、第一段階としてジレンマの状況の認識、第二段階としてジレンマへの挑戦、第三段階としてジレンマの挑戦の成果と課題、第四段階として挑戦の成果と課題への振り返りを行うことである。そのような研究を経て、今日のグローバリゼーション、とりわけ入国管理法の改正後の人の移動に伴い、多文化共生の視点から「福祉」を捉えなおす。
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研究実績の概要 |
3つの調査を行った。メインテーマはカルチュラルコンピテンスにおいて、ジレンマがいかに生じるのかということである。 第一の調査は、台湾の婚姻移民に対するソーシャルワークのシステムであり、そこでは多文化を理解するように努め、また当事者を組織化してエンパワメントするようになっている。同時にソーシャルワーカーは自分が主流文化に押し付けていないかを省察していることが伺われた。しかしカルチュラルコンピテンスのジレンマを感じていることは示されなかった。 第二は、日本で多文化共生に関わっている機関にヒアリングを行った。そこでは通訳を中心にした雇用形態であり、ソーシャルワークを前提とした雇用にはなっていない。しかしソーシャルワークが求められている。そして前線では、子どもや女性に対する厳しい対応をする家族に対して、苦慮していることが伺われた。これは異なる文化で許容されてきたものが日本ではないことが通じないというものであった。 第三はスウェーデンの難民支援に関わっているワーカーに対するヒアリングである。イスラム教徒などに対する対応において、スウェーデンの文化を前提として対処している姿が伺われた。難民の保護者達がスウェーデンの国の文化や規範を十分に理解しておらず、暴力的な養育をしていることに対して、スウェーデンの当局は当該保護者の児童の養育を不適切と判断することが見られる。また制度の申請が適切に行われず不利益を被ることがあり、間に立つソーシャルワーカーが苦慮していることが伺われた。 以上より、カルチュラルコンピテンスのジレンマが生じる場合と生じない場合が認識された。いかにすれば適切にカルチュラルコンピテンスのジレンマを感じることが出来るようにするのかを検討していく必要性が認められた。これは本テーマの克服を考える前にジレンマを感じていないという状況を認識したためである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本においては順調にインタビューしてきたものの、コロナにより台湾とスウェーデンで現地調査をすることが妨げられた。さらにはスウェーデンでは治安の悪化、ウクライナ紛争により現地に行くことが阻まれた。よって台湾とスウェーデンで現地インタビューを確実にするために延長が求められる。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた日本と台湾のスウェーデンの調査をして遅れを取り戻したい。すでにスウェーデンでは先方の支援機関と教育機関とのアクセスはしているため、現地でのインタビューをするようにしたい 。前述したように日本においては順調にインタビューしてきたものの、上記のスウェーデンなどから得られた知見を基にさらに比較するための資料を得ていきたい。
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