研究課題/領域番号 |
21K02041
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 宮崎国際大学 |
研究代表者 |
河原 国男 宮崎国際大学, 教育学部, 教授 (00204751)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 試練 / 教育共同体 / 対話的関係 / 実証 / 留岡幸助 / 谷昌恒 / 藤田俊二 / 対話的コミュニケーション / 実践記録 / 北海道家庭学校 / 苦難 / ケアリング / 寮長藤田俊二 / 理解 / 成長証明 / エビデンス / <成長証明的>実践記録 |
研究開始時の研究の概要 |
北海道家庭学校寮長藤田俊二(1932-2014)は、在職30年間、寮生147名の実践記録を残した。それらは入校した子ども一人一人の課題に即した日々の〈成長証明〉的な意義をもっていること、及び、それを可能にした、対話的コミュニケーションというべき記録様式とその実践を明らかにする。と同時に、その内容を共有できる基礎史料として整理する。こうした本研究が明らかにするその実践は、自立を促し、「誰一人取り残すことのない、公正で個別最適化された学び」(文科省)を実現するという点で社会的養護の領域を越え、義務教育の「教育保障義務」理念にかかわり、「学校」概念の再構築を促している。その波及効果も解明する。
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研究実績の概要 |
1.藤田俊二日誌のデータ入力。整理番号113(2022.9.13-2023.5.1)、同139(2023.5.2-5.15)、同34(2023.5.16-6.19)、同47,49,59(2023.4.11-5.2)、同81(2023.3.6-)。同139(2023.5.2-5.15)。その他。整理番号は藤田の石上舘に入寮した147名の通し番号として、個人情報保護の観点から研究上付与した。 2.寮長藤田俊二と校長谷昌恒との間に、対話的関係が示されていたことを実証的に明らかにした。具体的には、校長講話「ローマ人への手紙」に対する寮生たち十数名の受けとめについて、寮長藤田がどう理解しているかを日誌分析し、両者がそれぞれ固有の役割を果たして協働的関係を示していることを明らかにした。すなわち、谷が数回の校長講話において「ローマ人の手紙」を取り上げて「患難」の経験が「徳の試練」となる、と寮生たちに語り、「難儀」を「有り難い」とする同校の中心的な理念に直結する考えを提示していたことを寮生作文によって追跡し、校長としての谷の主導的役割(理念提示)を確認し、他方で、寮生それぞれの受け止めについて、寮生の個人的足跡に即して肯定的に受容しようとする藤田の役割(個人史に即して理念を実証する)を明らかにした。そうした日誌の特質の背景について創設者留岡幸助の旧約聖書理解と、藤田の未発表原稿「誰れが悪いのでもない」と関連づけて考察するとともに、その考察を踏まえて、北海道家庭学校が「試練」を理念とする教育共同体として成り立っていることを理念型的概念として構成した。 3.寮長藤田の夫人セツ子の寮母としての家庭的養護にかかわる役割について、すでに入力済みの日誌資料を中心に該当部分について抽出した。 4紋別郡遠軽町の北海道家庭学校を訪問し、以上にかかわって研究調査するとともに成果報告できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期から後期まで、25年にわたる日誌が<成長証明的>な実践記録として成立してきたであろう、という本研究の主題の重要部分について、一昨年の研究成果に続いて昨年、令和5(2023)年度も解明し、実証的な論文(55頁)として公表できた。他方で、ひとつの論文作成に集中することで、複数の論文作成に至らなかったことは、課題を残すことになった。この点で、概ね順調という評価に値する。
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今後の研究の推進方策 |
1.寮母藤田セツ子夫人が寮生と関係において家庭的養護にかかわって、どのような役割を果たしてきたか、藤田の日誌を通じて実証的に明らかにする論文(第三論文)を作成する。今年8月末までに作成する。 2.寮生との日々の暮らしの中で、「ユーモア」あるいは「微笑」の表情、言動について見出し、日誌に積極的に記述する藤田の姿勢を具体的に跡付け、その意義を解明する。 3.藤田日誌を引き続きデータ入力する。 4.すでに連絡のある名古屋市在住の卒業生(整理番号81)と面会して、これまでの研究成果が示す知見について紹介し、その受け止めについてヒヤリングし、妥当性を検証する。 5.これまでの藤田日誌研究を通じて明らかにされる北海道家庭学校像から、「学校」概念を一種の教育共同体として理論的に再構築する。
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