研究課題/領域番号 |
21K02052
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
廣實 真弓 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (90609645)
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研究分担者 |
黒岩 眞吾 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (20333510)
逸見 功 日本赤十字看護大学, 看護学部, 名誉教授・非常勤講師 (50173563)
安 啓一 筑波技術大学, 産業技術学部, 講師 (70407352)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | てんかん患者 / 就労支援 / 談話の聴覚理解 / 業務内容の伝達 / 朝礼 / 語連想課題 / ICT / 認知コミュニケーション障害 / 遠隔リハビリ / 合理的配慮 |
研究開始時の研究の概要 |
てんかん患者は記憶障害などの高次脳機能障害やそれに併発する認知コミュ二ケーション障害(CCD)を呈し、職場では仕事の指示を正確に理解できないなどの問題を抱えることがある。効果的な就労支援では、患者への機能訓練と合理的配慮を提案し、環境調整することが重要である(R.Winson, et al,2017)。そこで本研究では①「仕事の指示内容(談話)」を理解するための言語学的、神経心理学的視点に基づく検査課題を作成し、②問題が見られた機能に対しICTを用いた機能訓練を実施し効果を検証する。③その結果から当事者ができることを伝える合理的配慮を提案し就労支援を促進するシステムを構築することを目的にする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的の1つは、記憶障害などの高次脳機能障害やそれに併発する認知コミュ二ケーション障害(CCD)を呈した患者の就労支援のために、機能訓練と合理的配慮を提案することである。2021年度は、職場での朝礼を正確に聞いて理解するための訓練課題の作成を開始した。2022年度は、この課題をより多くの人が利用できるよう、訓練課題の出版の準備を開始した。問題はアナウンサーによりスタジオで録音され、再現性のある問題となっている。また記録用紙、模範解答など臨床ですぐに使用できるように作成されている。教材は、言語聴覚士以外に、就労支援に携わる他職種のスタッフ、軽度の当事者が利用できるように工夫した。問題の種類は「説明文」と「朝礼」で、問題は長さ、構文の複雑さ、話速度、解答方法を当事者の能力やニーズに合わせて選択することができる。問題総数は400問となる。CCDの訓練課題はこれまで出版されていなかったため意義は大きいと考える。今後当事者にICTを活用した自主トレを実施し、その効果の検証も進めたい。 2022年度は、てんかん患者だけでなく、他の疾患にも効果があるのか検討した。就労を目指す右半球損傷患者1例は本訓練を実施後、自身の記憶障害についての気づきが改善し、その後代償手段の活用を積極的に実施するなど有効性が見られた(第48回日本コミュニケーション障害学会、2022)。またCCDの評価法・介入法について解説し(精神障害とリハビリテーション、2022;総合リハビリテーション、2022)、研究成果の啓発活動をした。また研究代表者が翻訳したCCDのチェックリスト(CCCABI日本語版)が評価・介入につなげるために有効であることを第55回日本てんかん学会(2022)のワークショップで発表した。 語連想課題関連については、黒岩のチームが第21回情報科学技術フォーラム(2022.9)で3演題発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
談話の聴覚理解を改善するための訓練課題の作成、録音作業はおおむね順調に進んでいる。この課題の効果についての予備研究を開始し、効果が期待できることが示されたため、対象疾患をてんかん以外の疾患にも拡大し、さらに症例数を増やす予定である。 談話の聴理解の介入が必要な対象をスクリーニングするためのチェックシートの有効性の研究も開始できた。 語連想課題については、共同研究者が検査語について検討した。進捗状況としては、概ね順調であり、検査語の選定に進む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
談話の聴覚理解の効果については、てんかん患者だけでなく、他の疾患により談話の聴覚理解の問題を呈している患者に対しても検討を始めた。2022年度は右半球損傷患者についての有効性を症例報告したが、今後てんかん患者の症例数を増やすこと、また失語症のない左半球損傷患者、頭部外傷患者、に対しての検討を予定している。 なお、介入の対象とするためのスクリーニングのためのチェックリストの有効性についても検討を継続し、介入につながりやすくする制度について提案を目指す予定である。 語連想課題については、健常群のデータから、検査語を選定する作業を2023年度に実施する予定である。検査語の選定が終了したところで、文レベルの表出および語連想に問題があるてんかん患者群に訓練を施行する予定である。
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