研究課題
基盤研究(C)
本研究は、市民会議参加者が会議での役割を果たした後、主体的に地域活動に関わり始めるメカニズムを地域課題の「自分ごと化」と定義し、自分ごと化に影響する①地域特性、②プログラム特性、③個人特性を明らかにすることを目的とする。事例対象は、2014年以降、政策シンクタンクである一般社団法人構想日本が22の自治体で34回開催してきた無作為抽出型市民会議の一つである「住民協議会」である。住民協議会を対象に、地域間比較調査(自治体や構想日本への半構造化ヒアリング調査)と福岡県大刀洗町での事例研究(公募型市民会議との比較調査、市民への事後調査)を行う。
本研究は、地域に関心の薄かった市民が、地域課題の解決に関する活動を新たに開始することを「自分ごと化」と定義し、特に無作為抽出型の市民会議の参加者 に「自分ごと化」が生じるメカニズムについて「地域特性」「プログラム特性」「個人特性」の3つの視点から明らかにすることを目的としている。 2023年度は、プログラム特性の一部である「ファシリテーション」のあり方について検討するため、日本計画行政学会の全国大会においてワークショップを開催した。無作為抽出型市民会議でファシリテーターを実施した経験がある徳田太郎氏、村上千里氏、田中俊氏の3名を招き、無作為抽出型市民会議におけるファシリテーターの役割や今後期待される役割について議論していただいた。本来ファシリテーションは自由度の高い会議で行われることが多かった一方、無作為抽出型市民会議は提言作成などのアウトプットがある程度決められている場合が多く、会議の設計者とファシリテーターの間での調整が求められるのではないかという論点が提示された。ファシリテーションの役割として、異なる意見を対立関係に置くのではなく、面的にする話し合いのプロセスを支援することについて共有された。また、ファシリテーションの結果として、市民が自律的に活動するところまでを、支援の中でいかにして実現するのかが課題として取り上げられた。その他、2024年度に実施する予定の「個人特性」について明らかにするためのアンケート調査の準備を行なった。2024年度はアンケート調査を実施する予定である。
3: やや遅れている
「個人特性」の調査を実施する予定であったが、調査設計に時間がかかってしまったため。
2024年度は、福岡県大刀洗町を事例に、個人特性について明らかにするためにアンケート調査を実施する。大刀洗町では2014年度より毎年住民協議会を実施して いるため、これまでの参加者200名程度を対象とする。
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計画行政
巻: 47 号: 1 ページ: 17-19
10.14985/jappm.47.1_17