研究課題/領域番号 |
21K02085
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
岡崎 貴世 四国大学, 生活科学部, 教授 (10227738)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ねさし味噌 / ムコール / 発酵食品 / 大豆麹 / 麹 |
研究開始時の研究の概要 |
徳島県で古くから伝統的な手法で製造されている「ねさし味噌」は、ケカビと呼ばれるムコール属のカビを利用して製造される味噌である。日本で製造されている大豆の発酵食品(味噌、醤油など)の多くは「麹カビで作られた麹」が用いられているが、「ムコールで作られた麹」の例はほとんどない。そのため、ねさし味噌は独特な製法で作られる稀少な発酵食品である。そこで、ねさし味噌の製造過程における食品成分の変化や微生物叢の変遷などの発酵過程を解明する。さらに、ねさし味噌由来の発酵微生物を用いて「新しい麹(ムコール麹)」を調製し、新規大豆発酵食品開発の可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
徳島県で古くから伝統的な製法で作られている「ねさし味噌」は、一般的な味噌と製造方法が大きく異なり、麹カビ(Aspergillus oryzae)を用いずムコール属のカビ(Mucor plumbeus)を利用している。ねさし味噌の製造は仕込み後3年の熟成を要し、令和5年度が製造3年目(最終年)であった。 味噌の微生物検査を行なった結果、ムコールをはじめ、乳酸菌、酵母は検出されず、一般生菌が生残しているのみだった。仕込み後2年から3年の味噌の理化学的特性は、水分:50%前後、酸度:1.3ー1.5%、pH:4.8ー5.1を維持しており、大きな変化はなかった。しかし味噌の色調は熟成とともにメイラード反応が進んだと考えられ、色調は暗く赤みを帯びてきていた。熟成したねさし味噌は、他の米味噌に比べて総遊離アミノ酸含量が多いことがわかった。またグルタミン酸が多く検出されたが、豆味噌に共通する弱い苦味を呈するアミノ酸(ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなど)が検出された。 ねさし味噌はかつて徳島県西部地域の家庭で製造されていたことから、味噌について地域の聞き取り調査を行なった。味噌を知る人は高齢者を中心に多くいたが、製造方法を知る人はほとんどいなかった。その中で、製造を経験したことがある人から製法や当時の味噌の特徴について聞き取りを行った結果、ねさし味噌製造方法は現在とほとんど違いはなく、寒仕込みで3年間の熟成を要しており、現在のねさし味噌は昔ながらの製法が守られていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023(令和5)年度は、ねさし味噌の製造過程3年目の微生物検査及び理化学検査を行なった。研究計画通り、実施できている。また、ねさし味噌の製造方法を知る人から聞き取り調査を行い、製造方法や味噌の特徴について記録を行った。そのため研究達成度は、おおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023(令和5)年度で、ねさし味噌の発酵過程における微生物叢および理化学的特性の変化について調査を終了した。2024(令和6)年度は、ねさし味噌由来の発酵微生物を用いて「新しい麹(ムコール麹)」を調製し、新規大豆発酵食品開発の可能性を検討する予定である。同時にねさし味噌の食文化を次世代に継承するために、味噌を用いたレシピ開発等を行う予定である。
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