研究課題/領域番号 |
21K02095
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 群馬医療福祉大学 |
研究代表者 |
山岸 裕美子 群馬医療福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (60291861)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 室町殿の権威 / 扇の贈答 / 贈答儀礼のならい / 『満済准后日記』 / 『教言卿記』 / 『迎陽記』 / 『尺素往来』 / 中国古典の受容 / 扇(扇子) / 威儀 / 自然 / 文化 / 空間表現 / 伝統色 / 直垂 / 単物 / 上下 / 室町武家服飾 / 室町(足利)将軍 / 公武関係 / 服飾による自己表象 / 装い |
研究開始時の研究の概要 |
服飾は装う人物の内面を表象し、身分や立場をも表出する。室町時代に権柄を執った将軍は装いにより企図を示し、周縁の人物もそれに左右された。加えて、この期には公武が互いに影響し合っていたことから、両者の相互関係への言及なしに語ることはできない。しかし、従来の室町武家服飾史にはこれらの観点からの論考は見出せず、説の多くは応仁の乱以降の武家故実書に拠っている。 そこで、将軍が装いで示そうとしたことがらを解明し時代の形勢を考察するとともに、詳らかになっていない衣服の機縁も明確にする。それにより、室町時代前半の武家服飾史を構築し、これ以上説明の余地がないと考えられていた歴史の説に新たな解釈を提供する。
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研究実績の概要 |
1.「室町時代の扇をめぐる贈答と権威の表出」(国際服飾学会第42回大会口頭発表、 2023年5月):扇は僧俗貴賎によって携行され、様々な用途で用いられる服飾品であった。そして、室町時代には八朔をはじめとする贈答には、この扇が盛んに遣り取りされていた。その様相を検討したところ、幾つかの“ならい”ともいえる法則性を見出すことができたため、これに基づきながら贈答の背景にある室町殿の意図・周縁の人物たちの意識について探った。これを知ることにより室町殿の権威がどのような実態であったかについて言及することができると考えたためである。史料としては『満済准后日記』と『教言卿記』を用いた。 所産として、次の二点が浮かび上がってきた。まず、室町殿周縁の人物たちは幕府草創期からの慣例に基づきながら扇の贈答を行い、それが室町殿の権威に繋がっていたと言える。次に、贈物としての扇は太刀の進呈と対比されるべき品であり、室町殿への進上に際しては、時と場所が考慮されていた情況があらわれた。
2.「「蟷螂」試論―虫が語る日本中世の文化―」(『群馬医療福祉大学教育実践学報』第2号、2024年3月):室町期の公家の日記『迎陽記』の中に、「蟷螂」を進呈したという記載を見出したことから、当時の人々の「蟷螂」感と背景にある文化を明らかにする試みを行った。「蟷螂」には①昆虫のカマキリ②痩せた馬 の意がある(『日本国語大辞典』より)。そこで②痩せた馬と認知した背景を考証した結果、『尺素往来』中の記事から「蟷螂」は名馬をも指す感慨があることがわかった。さらに中国古典にまで拡大して吟味したところ、『呂氏春秋』の高誘による註に「蟷螂」は駿馬を指すことが記されていることを見出し、贈物の馬を「蟷螂」と謙遜した裏には、名馬であることを誇る意図があったことが明らかとなった。同時に、当時の中国古典受容の背景についても理解を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
史料を読解しながら室町殿および公家・武家の人々の服飾についてカード取りを行ううちに、当時は扇の贈答についての記事が多出することがわかってきた。そのため、身に纏う衣服とは別の観点からのアプローチも可能ではないかと考え、扇の授受について扱った。そのため、結果として迂回となった。 また、教育実践の研究誌(勤務校発行)に投稿する必要に迫られたことから、この原稿の作成に時間を要した。しかし、ほんの僅かながら所産も得ることができた。授業担当科目である「生活科」関連のテーマとして「蟷螂」を設定し特に文化の観点からのアプローチを行ったため、室町期の人々の認識を発見・理解することができた。しかし、これもやはり迂回であったことに変わりはない。
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今後の研究の推進方策 |
これまで通り史料を読解しながらのカード記入を継続し、本題である室町殿及び周縁の公家・武家が用いた服飾、特にその機縁が詳らかになっていない衣服について解明するとともに、着用の法則性を見出して結論を出すつもりである。 また、国際服飾学会において発表した内容(「室町時代の扇をめぐる贈答と権威の表出」)に関しては、投稿する準備が整っているため進めたい。
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