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科学的な調査と考察を踏まえた平安期染色技術の解明及び実際的色彩復元

研究課題

研究課題/領域番号 21K02103
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分08030:家政学および生活科学関連
研究機関京都光華女子大学短期大学部

研究代表者

青木 正明  京都光華女子大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (10866982)

研究分担者 北口 紗織  京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 准教授 (10573561)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
キーワード延喜式縫殿寮雑染用度 / 黄櫨染御袍 / 貝紫 / ムラサキ / ニホンアカネ / ベニバナ / ハゼノキ / 天然染料 / キハダ / 染色技術 / 平安時代 / 伝統色 / 色彩
研究開始時の研究の概要

古代色彩の研究調査において,工芸分野での古文献調査及び伝承技術調査による染色技術の復元研究と,化学的色彩工学的なアプローチによる色素同定及び色彩測色評価研究との連携がなされてこなかった.本研究では,工芸的視点及び学術的視点の両方から染色技術調査研究を行い,実践的かつ学術的な平安期の伝統色の復元を行う.
またその復元結果の研究報告会を開催することで工芸界及び服飾業界と学術界との積極的な情報共有を図る.

研究実績の概要

本研究は、古代の環境で染められた色彩たちを可能な限り忠実に復元し情報開示することを目的としている。そのための手法として、「複数の古文献を調査し技術デザインするための情報を得る文学的工芸的アプローチ」と「染色技術を実験・評価する化学的アプローチ」の両輪で研究を進めることで、学際的な視点から実践的仕様が可能となる古代色彩の復元を目指す。
3年度としては、次年度に翻訳完成した2007年刊行の「Natural Dyes」Dominique Cardon著(日本のみならずアジア各地方、ヨーロッパ、アメリカ大陸など世界各地に残る天然染料染色技術に関する調査結果を網羅した研究書)記述の内容から、世界で行われてきた天然染料染色技術の中から、我が国古来の染色技術探索に有益な内容を調査抽出した。
また、次年度で行った6種水による染色結果の違いを統計処理し関係性を調査研究したとともに、ニホンアカネの乾燥時間の差による染色結果の違いについて実験を行い、最適乾燥時間と乾燥手法を探索する足掛かりとした。
更に、本研究の最終年度に作業予定である「実際に衣類製作可能な布量(約38cm巾×5m長)の小巾絹地を染める」実践のための天然染料材料を収拾するために複数の生産拠点を訪れた。
最終年度である2024年度は、水の違いによる染色結果比較の追実験を行うことで染色の際の水選びについてのガイドラインを作成し、3年度より始めた染料乾燥時間についても効果的な手法を探索する。更に、延喜式記述より立てた仮説を実証する実験を行うことで、古代の染色工程を予想し、それに基づいて実践的な使用が可能となる複数の古代色彩の復元を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

以下、研究計画書「本研究で何をどのようにするのか」に基づいて述べる。
①古文献調査について: 文献調査によって研究調査の足掛かりとなる情報を収集した。例えばNatural Dyesにある記述から複数の地域で天然染料の保管状態に関わる情報を抽出し、天然染料の保管状態及び乾燥時間についての染色比較実験実施につながった。また例えば、主に西洋における染色の際の染料使用量と延喜式記載の日本での染料使用量の違いから日本での平安時代での染色回数についての調査研究の検討を始はじめた。
②化学的色彩工学的調査による染色技術の推定:前年度に行った6種水による染色結果の違いについて、水毎の染色結果をL*a*b*色空間にプロットしたところ、水毎の違いを可視化することが出来た。またその違いについても染料ごとに傾向があることがわかった。次いで6種類の水内含有金属4種とL*a*b*値及びK/S値との多変量解析を試みたところ有益な結果は得られなかった。また、ニホンアカネの乾燥時間の違いによる染色結果の違いについての比較実験を行い、時間の経過に伴いL*a*b*値とK/S値が変化することが分かった。ニホンアカネの乾燥時間についての実験は日本繊維製品消費科学会2023年次大会および日本家政学会関西支部研究発表会にて口頭発表した。
③天然染料の調査研究:前年度に続き新たなニホンアカネ栽培農家、貝紫染料調整者の生産現場を訪れ栽培調査を行った。また、ムラサキ、ベニバナ、ハゼノキ、キハダ重要染料に関して予定必要数量のストックを得ることができた。

今後の研究の推進方策

最終年度となる本年度は下記の活動を行う。
①染色作業に使用する水についての考察:水内金属量の違いが染色結果に及ぼす影響について追加実験を行い、4種の金属量と染色結果挙動の関連性を明らかにし京都市内の井戸水使用の有用性について考察する。
②染色工程の実験検討:同じ染料を使用した複数回の染色工程の合間に日光照射による乾燥と褪色を行うことで、染色結果の消費性能が上がる可能性について実験を行い検証する。この結果を実践的染色工程に反映する。
③実践的染色による古代色彩の再現と研究報告会の実施:これまでストックしてきた染料材料を使用し、また本研究により検証された染色工程により、実際に衣類を制作することが可能な生地量(約38cm巾×5m長)の小巾絹地を染める。また、今年度内に研究報告会を実施し、再現された色彩および研究成果を広く共有する。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] ニホンアカネの乾燥時間差による染色結果の色差について 古代染色手法探索の足掛かりとしての簡易実験結果紹介2023

    • 著者名/発表者名
      青木正明
    • 学会等名
      日本繊維製品消費科学会2023年年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 二ホンアカネの乾燥時間差による染色結果の色差について 第2報2023

    • 著者名/発表者名
      青木正明
    • 学会等名
      日本家政学会関西支部第45回研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 伝統色づくり解体新書「天然染料と衣服」-カラー写真で理解する染めの実現ー2022

    • 著者名/発表者名
      青木 正明
    • 総ページ数
      224
    • 出版者
      日刊工業新聞社
    • ISBN
      9784526081941
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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