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古代における食文化の実態解明に関する環境考古学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K02106
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分08030:家政学および生活科学関連
研究機関独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所

研究代表者

山崎 健  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (50510814)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード古代 / 古墳時代 / 食 / 動物遺存体 / 動物利用 / 食文化 / 環境考古学 / 動物考古学
研究開始時の研究の概要

本研究は、遺跡から出土した動物遺存体などの食料残滓から古代における食生活の実態を解明することを目的にして、食生活に関わる基礎資料を収集するとともに、遺跡出土資料の分析をすすめる。そして、それぞれの資料特性を考慮しながら、「遺跡出土資料による研究成果」と「文字資料による研究成果」を比較することによって、古代の食生活を多角的に考察していく。

研究実績の概要

本研究の目的は、遺跡出土の食料残滓を分析するとともに、出土した食料残滓を集成し、古代における食生活の実態を明らかにすることである。
今年度は、腐りやすい魚として知られるカツオが骨付で内陸部に運ばれていたことを明らかにした。奈良県の西橘遺跡では、7世紀後半の良好な動物遺存体の分析を実施した。アカニシやカツオといった魚介類、キジ科やカモ科といった鳥類のほか、ウマ、ウシ、ニホンジカやイノシシといった哺乳類を同定した。ウマやニホンジカ、イノシシの骨には刃物の跡が残されており、解体されて肉や皮などを得ていたと考えられる。こうした様相は、水産物や獣肉類が記された出土木簡の内容とも共通したものであった。また、鹿角を切断した後の残滓(落角の角座部)も出土し、鹿角製品を製作していた可能性がある。
とくに注目されるのが、カツオの尾椎が出土したことである。平城宮・京では堅魚の荷札木簡が数多く出土しており、「煮堅魚」や「荒(麁)堅魚」、「堅魚煎汁」といった保存の効く堅魚製品が主に駿河・伊豆から貢進されていたことが知られる。先行研究で指摘されているように、煮堅魚や荒(麁)堅魚がカツオの切り身を加工したもの、堅魚煎汁がカツオの煮汁を煮詰めたものであるならば、カツオの背骨が含まれる可能性は低い。カツオ尾椎の出土は、こうした堅魚製品とは異なるカツオの搬入を想定させるものである。藤原宮跡では「生堅魚」と記された荷札木簡が出土し、加熱処理をせずに近国から貢進されたと評価されており、関連性が示唆される。
得られた成果については、分析結果の基礎データを発掘調査報告書に掲載した。また、研究成果をわかりやすく伝える方法に関する発表を行い、一般向けの展示にも積極的に協力した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

出土資料の分析を着実に進めることができた。昨年度までに得られた研究成果を一般向けの書籍や展示で発信した。

今後の研究の推進方策

出土資料の分析を実施するとともに、古墳時代~古代における集成を継続的に進め、研究成果を積極的に発信する。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (10件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] 西橘遺跡から出土した動物遺存体2024

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 雑誌名

      『西橘遺跡発掘調査報告書』明日香村文化財調査報告書第18集

      ページ: 114-117

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 西大寺食堂院出土の動物遺体2023

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 雑誌名

      『古代寺院の食を再現する』吉川弘文館

      ページ: 79-89

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] ネズミによるモモ核の食痕形成に関する実験報告2023

    • 著者名/発表者名
      山崎健・鈴木祥菜・三舟隆之・青江誠一郎
    • 雑誌名

      奈良文化財研究所紀要2023

      ページ: 32-33

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] かじられたモモ核とネズミの骨/ボラの骨2023

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 雑誌名

      『女帝のいのり―発掘された西大寺と西隆寺』

      ページ: 21-21

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 古代(飲食と考古学)2022

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 雑誌名

      季刊考古学

      巻: 159 ページ: 17-20

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] モモ核に認められたネズミの食痕2022

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 雑誌名

      奈良文化財研究所紀要2022

      ページ: 34-35

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 学際領域研究の動向2022

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 雑誌名

      日本考古学年報

      巻: 74 ページ: 6-10

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 都城と馬2021

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 雑誌名

      『馬と古代社会』八木書店

      ページ: 199-213

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 西大寺食堂院SE950出土の動物遺存体―第404次2021

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 雑誌名

      奈良文化財研究所紀要2021

      ページ: 186-191

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日本における家ネズミの考古学的記録2021

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 雑誌名

      BIOSTORY

      巻: 36 ページ: 34-39

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 日本における考古動物学の展望と課題2023

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 学会等名
      近江貝塚研究会第360回例会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 動物考古学に関する展示活用の実践事例2023

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 学会等名
      日本動物考古学会第10回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 遺跡出土の骨からみたカツオ2023

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 学会等名
      シンポジウム『カツオの古代学 part1』
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 遺跡から出土したネズミの哺乳類学的意義2022

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 学会等名
      名古屋哺乳類研究会2022年4月例会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 展示活用に関する議論の試み2022

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 学会等名
      近江貝塚研究会第348回例会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 日本における家ネズミの考古学的記録2022

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 学会等名
      生き物文化誌学会第82回例会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 西大寺食堂院出土の動物遺体2022

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 学会等名
      西大寺食堂院の古代食再現シンポジウム
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 群馬県金井遺跡群における鹿角利用2021

    • 著者名/発表者名
      山崎健
    • 学会等名
      日本動物考古学会第8回大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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