研究課題/領域番号 |
21K02134
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
吉田 潤 岩手医科大学, 教養教育センター, 講師 (20611007)
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研究分担者 |
木村 賢一 岩手大学, 農学部, 教授 (30344625)
伊藤 芳明 岩手大学, 農学部, 教授 (50312517)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Falcarindiol / 機能性物質 / GSK-3β / インスリン / 糖新生 / セリ科植物 / ウコギ科植物 / ポリアセチレン化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
セリ科植物やウコギ科植物は、植物成分としては特異な化合物群であるポリアセチレン化合物を産生することが知られている。我々は、セリ科野菜やウコギ科山菜に含まれるポリアセチレン化合物の糖代謝に関わる健康機能性の一部を明らかにしてきたが、作用機構の全容は未知のままである。本研究は、食材由来のポリアセチレン化合物の肝細胞におけるエネルギー代謝制御機構に対する作用機序の分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。本研究により、セリ科・ウコギ科食材の新たな機能性素材としての有用性の実証、及び生活習慣病の病態形成機構における基盤研究に繋がるものと期待される。
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研究実績の概要 |
本研究はカルシウム感受性の遺伝子変異酵母株の生育回復活性を指標とする新規な薬剤スクリーニング技術を用いて得られた食材由来の生物活性物質の新たな機能性に関する研究である。特にセリ科の野菜やウコギ科の山菜に主に含まれるポリアセチレン化合物であるファルカリンジオール類の、糖代謝を中心としたエネルギー代謝制御機構の分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。 食材含有ポリアセチレン化合物の細胞レベルにおけるエネルギー代謝制御機構の作用機序を明らかにするために、肝臓由来細胞株にファルカリンジオール類を作用させ、タンパク質合成シグナル伝達経路やインスリンシグナル伝達経路への影響を解析した。ファルカリンジオール類はラット肝がん細胞においてタンパク質合成とオートファジーを調節するタンパク質複合体mTORC1の活性制御に関わる因子のリン酸化レベルを上昇させ、その下流のシグナル伝達分子の活性に影響することが示唆された。また、ファルカリンジオール類はラット肝がん細胞においてインスリンシグナル伝達経路の下流に位置するタンパク質リン酸化酵素の活性を抑制し、糖新生律速酵素に関わる転写因子のタンパク質量に影響する可能性が示唆された。現在この生物活性の直接的な標的分子をヒト肝臓がん細胞にて解析中である。これまでの結果から、食材に含まれるポリアセチレン化合物の細胞内のエネルギーレベルや栄養要因を感知するシグナル伝達経路への影響の一部が明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに、ファルカリンジオールの糖新生の制御因子及び栄養応答シグナル経路に対する作用機序をラット肝がん由来細胞株を用いて検討し、インスリンシグナル伝達経路の下流の転写因子のタンパク質発現量が減少する可能性が示唆された。 本年度は、タンパク質合成/オートファジー制御機構に関するファルカリンジオールの作用をタンパク質のリン酸化レベルで解析した。ファルカリンジオールはタンパク質合成やオートファジーを調節するmTORC1を制御するタンパク質複合体のリン酸化レベルを変動させ、その下流のシグナル伝達経路に影響することが示唆された。この生物活性の直接的な標的分子をラット肝臓がん細胞とヒト肝臓がん細胞を用いて解析中し、糖新生律速酵素の転写因子群のタンパク質分解との関係を検討した。また、岩手県の森林等から食経験のあるセリ科植物とウコギ科植物を採集し、植物部位ごとにヘキサン抽出とメタノール抽出してプロテインキナーゼ阻害活性を測定した。栄養応答シグナル経路とプロテインキナーゼ阻害活性との関連性を検討していく。
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今後の研究の推進方策 |
食材ポリアセチレン化合物の結合タンパク質を肝臓由来細胞株を用いて解析し、その作用機構と代謝調節機構との関連性をより具体的に明らかにしていく。また、GSK-3β活性を阻害する化合物は中性脂肪合成を活性化することが示唆されているため、食材由来のポリアセチレン化合物のヒト肝細胞におけるグリコーゲン合成と脂肪蓄積作用を評価する。さらに、遺伝子発現プロファイリングからファルカリンジオールの糖尿病や肥満に対する新たな機能性を明らかにする。 ウコギ科山菜のヘキサン抽出物に遺伝子変異酵母株の生育回復活性が認められたことから、その植物体の様々な部位についてキサン抽出し、疎水性の高い化合物に着目して単離精製を行う。得られた活性物質について各種プロテインキナーゼの阻害活性や糖新生抑制作用を評価し、食品機能性素材や薬用植物資源としての活用法を検討していく。
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