研究課題/領域番号 |
21K02162
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 西九州大学 |
研究代表者 |
安田 みどり 西九州大学, 健康栄養学部, 教授 (20279368)
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研究分担者 |
田端 正明 佐賀大学, 理工学部, 客員研究員 (40039285)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 緑茶 / にごり / 光退色 / クロロフィル / カテキン類 / カテキン / 自己凝集体 / 乳化剤 |
研究開始時の研究の概要 |
入れたての緑茶は鮮やかな緑色を呈しているが、時間とともにその美しい色を失う。これは、緑色色素であるクロロフィルの光による退色によるものである。我々は、水-アルコール中や乳化剤共存下で、クロロフィルは100 nm以下の自己凝集体を形成し、光退色を抑制することを明らかにした。最近注目されている“にごり緑茶”でも同様にクロロフィルの自己凝集体の形成が予想される。本研究では、クロロフィルの凝集体形成を利用して、光に安定な”にごり緑茶”の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は、“にごり”緑茶に乳化剤を加えることで、緑茶の光退色を抑制することを目的とした。乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル(SE)を用いた。比較としてエタノールおよび界面活性剤のTriton X-100(TX)を用いた。まずは、クロロフィル溶液をサンプルとして用いた。サンプル溶液を透明のPET容器に入れ、LEDライトにて光照射し、時間ごとに色差、UV-Visおよび蛍光スペクトルの測定を行った。また、抹茶を用いた緑茶溶液を作成し、同様の実験を行った。カテキン類などの成分分析については、HPLCを用いて行った。光照射によって、エタノールおよびTX水溶液中のクロロフィルは緑色から茶色に変色したが、SEの場合は緑茶の緑色が保持されることが分かった。また、クロロフィルのソーレー帯やQ帯のピークは光照射ともに減少したが、540nmのピークは増大した。このピークが変色に関与するのではないかと考えられた。一方、緑茶溶液中では、SEを用いても光による変色を抑えることができなかった。カテキン類の濃度も、光照射とともに減少した。このように、クロロフィルは乳化剤(SE)により退色・変色を抑えたが、緑茶を用いた場合は光によって変色が生じた。これは、クロロフィルの分解とクロロフィルとカテキン類との相互作用によって生じた成分によるものだと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、“にごり”緑茶に乳化剤を加えることで、緑茶の光退色を抑制することを期待していたが、逆に緑茶の変色を引き起こすという想定外の結果が得られた。現在、変色のメカニズムの解明や変色した物質の特定に時間がかかっている状態である。今年度で最終年であったが、さらに研究期間を延長して研究を進め、学会発表や論文投稿に繋げたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年であったが、進捗状況が遅れていることから次年度も継続して研究に取り組む予定である。今後は、“にごり”緑茶に乳化剤を加えたことで生じる緑茶の変色のメカニズムの解明や変色した物質の特定を行う予定である。これらを明らかにすることで、光に対して緑茶の色を安定に保つための方法の確立を目指す。
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