研究課題/領域番号 |
21K02172
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
河合 務 鳥取大学, 地域学部, 教授 (10372674)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 母子衛生 / 育児学 / 産育 / 人口 / 堕胎 / 流産・死産 / 捨て子 / 乳母 / 生徒指導 / 軍隊モデル / 治療モデル / ボールドウィン / 習慣形成 / 学校衛生 / 教育学 / 医療 / 身体 / 習慣 |
研究開始時の研究の概要 |
明治以降に欧米から日本に移入された学校衛生論は19~20世紀初頭の欧米における「衛生(hygiene)」概念の歴史的変容を踏まえて定着し、学校教育の「衛生化」=「医療化」を促進しつつ近代社会における人間・家族・子ども・身体へのまなざしを規定している。 本研究では西洋学校衛生論の源流のひとつであるフランスの教員養成向け教育学テキストにおける衛生概念の内実について(1)教育学と衛生学の重なり、(2)衛生問題に関して教師に期待された役割、(3)自然環境と教育環境の区別と関連性、(4)子どもの身体へのまなざし、(5)衛生的習慣の定着方略に焦点をあてて、その具体像を歴史的に解明する。
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研究実績の概要 |
2022年度の科研費助成事業による研究実績として①比較家族史学会2022年春季大会シンポジウム(6月22、23日、於:明治大学、オンライン)での口頭発表「20世紀初頭フランスにおける出産奨励運動と母子の衛生問題について」を行った。また、②論文「教員としての子ども観・教育観についての省察 ―― 学びと表現活動を支える思想 ――」『地域学論集(鳥取大学地域学部紀要)』(第19巻第2号、2022年)を執筆した。これらは当初の研究計画で設定した課題のうち特に「教育学と衛生学の重なり」、「子どもの身体(生命)へのまなざし」、「衛生的習慣の定着方略」から近代的な衛生概念の内実を解明することを目指したものである。主な研究成果として以下の3点が得られた。①19世紀末以来フランスで高揚した人口の伸び悩みに対する国家的な懸念は出生率を上昇させるという関心ばかりでなく母子衛生に対する関心を惹起し、20世紀初頭にはその影響から堕胎、死産・流産、捨て子、乳母といった総じて〈産育〉のあり方に衛生の観点を導入することが国家的な関心事として浮上したこと。②母子衛生への関心の高まりは1905年から女子師範学校のカリキュラムに「衛生」講義の一部として組み込まれた「育児学」に反映され、19世紀後半には低調であった「育児学」関連の著作の出版は、特に20世紀初頭から増加に転じたこと。③1911年に公表された報告書『死亡率の原因に関する総合的報告』では、工業化・都市化にともなう労働者階級の母親の貧困、過労、無知という問題に対処するため「育児学」に期待が寄せられていたことが明らかとなった。「育児学」は出産前後の〈産育〉のあり方に対する衛生知識を母親に普及させる学問領域を形成するに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「育児学」テキストの分析を中心として衛生概念の内実を歴史的に解明する作業が進展しているため、このように判断する。
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今後の研究の推進方策 |
20世紀前半期を中心として教育学テキストの蒐集し、分析を進める。
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