研究課題/領域番号 |
21K02188
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
桐村 豪文 弘前大学, 教育学部, 准教授 (00637613)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | エビデンスに基づく政策と実践 / INUS / 文脈 / 価値判断 / データ / 学校改善 / 専門職の学習共同体 / EBP / ポスト実証主義 / ランダム化比較試験 / エビデンスに基づく政策 / 社会進化論 / 国家 / 正義 / 民主主義 |
研究開始時の研究の概要 |
エビデンスに基づく政策(EBP)の考えは、昨今広く肯定的に受け止められている。しかしその趣旨を受け入れたとしてもなお次の問いに応える必要がある―では、どのようなEBPの在り方が望ましいのか。 包括的視野からその望ましい在り方を検討する必要があるのだが、しかしより難解なのは、その望ましさを何に求めるべきかということである。そこで本研究では「社会の進化」という概念を導入し、次のように問いを改める。いかなるEBPの在り方が社会に「進化」をもたらすのか。 本研究は、1)社会進化論のマクロ理論を開発したうえで、2)教育におけるEBPの望ましい在り方について、現地調査も踏まえ、理論的かつ実証的に検討する。
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研究実績の概要 |
本年度は、これまでの研究を以下2つの論文にまとめ、発表した。 桐村豪文「エビデンスに基づく政策と実践をめぐる「より柔軟」な理論的アプローチ―ローカルな価値判断の必要性―」『教育学研究(日本教育学会機関誌)』90(1) 2023年(印刷中) エビデンスに基づく政策と実践(EBP)をめぐって対立する立場の全体像を、「硬い心」の立場と「軟らかい心」の立場を両極にもつ連続体として描く考えを提示し、特にその連続体の中間に位置する「より柔軟」な立場に着目して、EBPの実像を論じた。すなわち、因果関係の概念をINUS条件として捉え、ローカルな文脈を重視するアプローチを展開しながらも、結局のところ不確実性の問題に直面し、価値判断の必要性に回帰せざるをえない。EBPは、政策決定の過程から価値判断をすべて除去することはできないのである。 桐村豪文「学校における効果的なデータ活用の探究―諸外国の事例を踏まえた考察―『日本教育経営学会紀要』第65号、2023年(印刷中) 教育改善の手段としてデータを活用することは、米国をはじめ多くの国々で重視されている。我が国でもデジタル化に伴いデータ活用には大きな期待が寄せられているものの学術的には黎明期の段階になおあるように思われる。データ活用には、その目的(学校改善かアカウンタビリティか)において緊張関係がある。データ活用が学校改善に資するためには、手段的活用や概念的活用といったタイプのデータ活用が求められる。また、意思決定の基盤に何を求めるか(データか直感か)においても緊張関係がある。ベルギーでは、教師の専門職性が重視される中でデータ活用が拒絶され、直感による判断が優先されることがある。そこで本稿が着目したのが、オランダで開発されたデータチームのアプローチである。これは、専門職の学習共同体としての特徴を持ち、また会話に探究の深さを求める点で専門職性を深めることができるアプローチである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究を全国誌の論文として発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
EBPに関する(推進派の)取組や研究について、科学哲学の知見を用いて、批判的に論じることができた。ただし、そもそもEBPに批判的でなければならない理由を論述するものは、まだ構想段階で論文としてまとめることができていない(口頭発表ではすでに行ってはいる)ため、これについては次の課題としたい。 また本研究のキーワードに「社会の進化」というものがあるが、その概念との関係性についても、まだ構造段階で論文として発表できるまでには至っていないので、これも今後の課題としたい。
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