研究課題/領域番号 |
21K02205
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
|
研究機関 | 昭和音楽大学 |
研究代表者 |
岸本 智典 昭和音楽大学, 音楽学部, 講師 (50757713)
|
研究分担者 |
今井 康雄 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (50168499)
相馬 伸一 佛教大学, 教育学部, 教授 (90268657)
生澤 繁樹 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70460623)
小山 裕樹 聖心女子大学, 現代教養学部, 准教授 (60755445)
河野 桃子 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 講師 (10710098)
関根 宏朗 明治大学, 文学部, 専任准教授 (50624384)
高宮 正貴 大阪体育大学, 教育学部, 准教授 (20707145)
吉野 敦 大分大学, 教育学部, 講師 (80954172)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 教育思想史 / 西洋教育思想 / 歴史叙述 / メタヒストリー / 教職教養 / 教員養成 / 教育原理 / 教育哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、教職課程や教育学部等における教養教育を担ってきた「教育思想史」の教育内容や方法について、これまでのあり方を批判的に検討したうえで、先端的な研究成果に立脚しつつ現代的な課題にも対応しうる新たな形の「教育思想史」を構想、再構築することを目的とする。その際、英米独仏を中心とする西洋の教育思想史テクストの内容分析や、それら相互の影響・受容関係の歴史的な分析を基本としながら、西洋教育思想とその歴史記述が近代日本にどのように受容され、定着してきたか歴史的に分析するという方法を採用する。
|
研究実績の概要 |
令和4(2022)年度においては、編著1点、共著への寄稿5点、雑誌論文4点(書評1、図書紹介1を含む)、学会発表5点、翻訳2点(共訳2を含む)という実績があがった。 研究組織共同の取り組みとしては、2022年8月5日(金)に2022年度第1回全体研究会(於:Zoomオンラインミーティング)を、2023年3月7日(火)に第2回全体研究会(於:佛教大学紫野キャンパス)を開催し、また、2022年9月18日(日)には教育思想史学会第32回大会(於:同志社大学新町キャンパス)において報告をおこなった。 第1回全体研究会では、2件の報告がなされ(高宮正貴「19 世紀末イギリスの教員養成にとって教育思想史とは何か―教育の「科学」と「技芸」という視角から」、岸本智典「「教育」を広く定義する教育思想史は教育実践家へと届いたか―教育史家としてのヘンリー・バーナードが持つ歴史的意味―」)、その後、小山裕樹からの指定討論を含む全体討議がおこなわれた。これは9月におこなわれる上述の学会報告のプレ報告という位置づけであり、改訂作業を経て9月18日の本番ではそれぞれ、高宮「19世紀末イギリスの教員養成における教育思想史の意義―教育の「科学」と「技芸」という視角から」、岸本「「教育史」への期待とその主題の拡張―教育史家としてのヘンリー・バーナードが持つ歴史的意味」として報告された。 第2回研究会では、こうした学会での報告を反省しつつも、新たに2件の報告がなされた。吉野敦「19 世紀フランスにおける教育史/教育思想史テクストの整理の試み」、および、相馬伸一「コメニウスにおける「迷宮」の哲学的含意」である。いずれの報告も本科研が課題とする教育思想史叙述の比較検討にそれぞれ資するものであり、議論も含めて極めて有意義な研究会となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、予定していた全体研究会を2回開催したことに加えて、研究組織共同での学会発表を実施することができた。内容としては、上述の通り、イギリス関連が2件、アメリカ関連が2件、フランス関連が1件、その他人物研究としてコメニウス関連が1件であった。これらは本研究課題を推進する上で重要な知見が個別に報告されたものであり、成果として十分に評価できるものである。他方で、これまでのところ個別報告としてはドイツ教育思想史に関わるものが少なく、それを勘案して2023年度の計画を再編成しているところである。また、個別報告を俯瞰的に捉え、教育思想史叙述の新たな形態を構想する報告も現状まだ十分とは言えない。これらを踏まえて、下記の推進方策を練っていく。 なお、2022年度もCOVID‐19感染症拡大への対応は継続されたものの、学会や研究会で部分的に対面形式を再開し、研究分担者・協力者間の密なコミュニケーションや情報交換を回復させられたことは特筆しておきたい。 以上の理由より、区分(2)「おおむね順調に進展している」と評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
まずは研究計画通り、全体での研究会および学会報告を着実に実施していく。2023年度は第一に、9月に全体研究会を実施し、①ドイツ教育思想史に関連するヘルバルトの思想やヘルバルト主義的な教員養成について、②英国のアレクサンダー・ベインやハーバート・スペンサーによる「科学」としての教育という考え方について、③特にコンペレを中心とする19世紀フランスにおける教育史叙述について、それぞれ特徴を明らかにしつつ、それらの相互関係についても整理することを目指す。そこでの議論を踏まえて、9月には教育思想史学会で同内容を発展・洗練させたものを報告する。COVID‐19感染症拡大等の状況次第ではあるが、米国での調査をはじめとする海外における資料調査や、海外へ向けた研究成果の発信も進めたい。状況の変化に適切に対応し、国内外の研究会や学会での報告、国内外での資料調査について、場合によってはオンラインも活用しながら当初の目標を達成できるように柔軟かつ機敏に対応していく。
|