研究課題/領域番号 |
21K02206
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
藤田 弘之 関西外国語大学, 国際文化研究所, 研究員 (10033581)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | GTCS / スコットランド総合教職評議会 / 教師の継続的職能成長 / CPD / professional learning / professional update / professional standards / 教師の生涯にわたる職能成長 / 教師の現職教育 / 教師の資質能力 / 教師の専門職基準 / 教師の専門職登録更新制度 / PRD / Professional Update / 教師の職能成長 / 教師の生涯学習 / 現職教師の継続的職能成長 / 現職教師の専門職としての学び / 教員免許更新制度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は教育関係者の専門職団体であるスコットランド総合教職評議会の下で2014年から展開されている専門職登録更新制度(Professional Update)につき、制度の成立の経緯、成立した制度及びその制度の運用の実態やその有効性を明らかにする。この制度の下、教師は登録を5年毎に更新する義務があるが、その際それまでの学びの記録の提出が義務付けられている。この制度は特に自律的主体的な学びを促進し、反省的思考を持ち、探究的創造的な教師を育成することが目指されており、こうした教師をどのように育成しようとしているかを視座に持ちつつ、我が国における現職教師の学びの在り方についての資料を得たい。
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研究実績の概要 |
本研究は教育関係者の専門職団体であるスコットランド総合教職評議会(General Teaching Council for Scotland、以下GTCS)の下で策定され、2014年から実施されている専門職登録更新制度(Professional Update)がどのような経緯で導入され、またそれがどのように組織され制度化され、また運用されているかを明らかにし、最終的にその成果や有効性、あるいは関連する諸問題を明らかにすることを目的としている。当初の計画では、1年目に文献研究を行い、2年目、あるいは(及び)3年目に現地で実態調査を行い、GTCSの登録更新制度の成果、有効性、問題点などを具体的かつ詳細に探ろうとした。そしてこうしたことを究明した後に、我が国において廃止が決定された免許更新制度の問題点を合わせて探り、現職教師の職能成長のあり方を検討しようとした。当初はある程度早い時期にスコットランドに行き情報を入手し、実態を調査して、これらを検討し、問題点を整理し、さらにより深くこの問題を探るべく繰り返してスコットランドを訪問して調査しようとした。しかし周知のごとくコロナ禍の中で、現地に行くことができず、また渡航が解禁された後も、スコットランドの危険や学校現場の諸制約のために思うように実施できなかった。この期間においては、主としてEmailや電話によってスコットランドの公的機関、研究者と精力的に連絡を取り、資料や情報を入手した。現在までにこれらの資料や情報を基礎に専門職登録更新制度の成立経緯、その制度、運用状況、さらにその基礎となる専門職基準、GTCSの教育政策策定への関与などを可能な限り明らかにしてきた。コロナ禍の中で種々の制約はあったが、これまで日本にいて可能なことは最大限行い、その研究成果を公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに述べたように、当初の計画では、1年目に文献研究を行い、2年目、あるいは(及び)3年目に現地で実態調査を行い、GTCSの登録更新制度の成果、有効性、問題点などを具体的に探ろうとした。しかしコロナ禍の中で、現地に行くことができず、また渡航が解禁された後、多数の関係者にコンタクトをとったものの、関係機関や学校の受け入れ体制に制約があり、現地で調査することはなお困難な状況が続いた。このためにこの期間に主としてEmailによってスコットランドの公的機関、研究者と精力的に連絡を取り、資料や情報を入手した。さらに種々の疑問点を問い合わせた。こうしたことによって大量の資料や情報を蓄積し、特にスコットランドにおける教師の登録更新制度の基本となるGTCSが作成し改善を加えている各種の専門職基準(仮登録基準、正規登録基準、正規登録後の教師の基準、管理職基準、校長職基準)の作成経緯を探り、その内容を詳細に分析検討した。また現職教師が専門職としての学びを行うようインセンティヴを与えようとする、GTCSの認証教師(chartered teacher)、専門職認定制度(professional recognition)の内容、その運用を明らかにした。さらにGTCSのスコットランドにおける教育政策形成過程への関与についても究明し、これらの成果を公刊した。
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今後の研究の推進方策 |
先述のように当初の計画では、2年目、及び3年目に現地赴き、スコットランド総合教職評議会(GTCS)の関係職の紹介を得て、GTCSの担当者、また実際この運用を担当している学校管理職、地方当局関係者にインタビューし、また学校レベルで実際専門職としての学びを行っている教師を抽出してケーススタディを行うなどして、登録更新制の効果、有効性、問題点等の実態を明らかにする予定であった。しかし、コロナ禍の影響もあり、当初の予定通り進めることができなかった。本年度は入手した文献の解読やEmailの交換によって蓄積した情報を基礎にまとめた研究成果を、さらに現地で実際に確認検証することに全力をつくす。具体的には、スコットランドを訪問し、すでにコンタクトをとっているGTCSのJack Morley氏、GTCSの元事務局長であり、西スコットランド大学学長をしているMuir氏、スターリング大学のWater Humes教授、ストラスクライド大学のケネディー教授、元GTCSの管理部門にいたオスラー氏及びハミルトン氏、マセソン博士等と連絡を取り合い、アドヴァイスや紹介を得て、スコットランドの各地で、これらの事項の解明を行う。またスコットランドにおいては特に2021年頃からグローバル化の波に対応すべく、新たな教育改革の論議が沸騰しており、制度改変が精力的に進められようとしている。現地での実態調査と平行して、この動きも見定め、この動きとGTCSの教師の資質能力の向上策改変との関連を究明したい。こうした作業を経て、本年度においては一連の研究を総まとめし、GTCSの登録更新制度ないしは現職教師の職能成長の方策が、我が国における教師の職能成長策改善にどのような点で参考になるかを明らかにする。
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