研究課題/領域番号 |
21K02207
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
杉浦 健 近畿大学, 教職教育部, 教授 (30298989)
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研究分担者 |
八木 英二 公益社団法人部落問題研究所, その他部局等, 研究員 (30071278)
松浦 善満 大阪千代田短期大学, 幼児教育科, 教授 (40243365)
湯峯 裕 桃山学院教育大学, 人間教育学部, 教授 (50300984)
大前 哲彦 公益社団法人部落問題研究所, その他部局等, 研究員 (60097954)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ケア / 教員の専門性、専門職性 / 教員の資質能力の向上 / 教員・子ども・保護者の関係性 / 教員の成長 / 学校の福祉的な役割 / 教員の役割 / 教員評価 / ケアする学校 / 学校づくり / 教員研修 / 教員育成システム / 管理職の働き方 / 教員支援育成システム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、「教員が学校で育つ」ことを可能にする、学校における教員育成のための、教員評価システムも含めた総合的なシステムを明らかにすることである。そのために、①効果的に教員評価システムを使って教員の意欲、資質能力の向上を可能にしている事例を明らかにする。②教員がどのように自らの意欲や資質能力の向上を実現しようとしているのか、同僚教員とのかかわり、管理職とのかかわり、学校での研修、学校外での研修等のあり方から明らかにする。③①②より、教員評価システムを彼らの成長を促すものとして再定置し、「教員が学校で育つ」ことを可能にする総合的な教員育成システム構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、教員の専門性、専門職性について深く議論してきました。その中でも、いくつかのキーワードが問題になりました。一つ目は「ケア」です。学校教育の目的もしくは学校教育の目的を果たすための手段として「ケア」の役割が大きくなっているのではないかという議論が行われました。ただ、医療や看護、介護や保育で使われている「ケア」という言葉と学校での「ケア」の違いは何なのか、「ケア」という言葉を安易に使っていいのか、現時点では結論が得られていません。 二つ目のキーワードが「教員の資質能力の向上」です。教員評価において目的の一つになる「教員の資質能力の向上」ですが、そもそも資質能力という概念が新自由主義の産物であり、その概念の欺瞞ともたらす悪影響が議論されました。 三つ目のキーワードが「関係性」です。学校づくりや教員の専門性、専門職性を考えるにあたって、教員が子どもや保護者、同僚や社会と結ぶ関係性が重要であり、資質能力概念は、学校づくりや教員の専門性向上のために、関係性の重要性を軽視することになることが議論されました。 これらの議論をふまえて、今後、「教員はどのように成長していくのか、またそこで得られる教員の専門性とは何か」について、教員がこれまでの経験を通して、どのように教員として成長し、どのような考えを持つようになったのか」を明らかにする調査を計画しています。教員としての経験を振り返り、成長したきっかけや出来事、どのように成長したかを調べることによって、教員が自らの成長や教員の専門性をどのように捉えているのかを明らかにし、それらを促していくために何が必要なのかを明らかにして、これからの学校づくりや教員のあり方を示していきたいと考えています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究の理論的考察については進んでいるものの、調査の準備が遅れている。この理由は大きく2つある。一つ目は、研究者間で理論的なコンセンサスが得られなかったためである。二つ目は、教員の働き方改革が進む中で、意味のある結果を見出せる研究にするための理論的準備ができなかったためである。 一つ目の理由については、そもそも「教員の資質能力の向上」という考え方が新自由主義に基づく、教員の分断につながっていることが理解され、教員評価や研修、管理職の働きかけで、それらが向上するという考え方に問題があることが認識されたために、研究の前提が崩れ、一から調査のあり方を考え直したためである。今後の研究では、教員個人の持つ能力と考えるのではなく、関係性を重視する方向で調査を組み直そうとしている。 二つ目の理由については、働き方改革が叫ばれる中で、教員に負担を増やすような研修を導くような研究では意味がないと考え、そこから先に進めなかったためである。この問題については、いまだ解決の糸口がつかめていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後、「教員はどのように成長していくのか、またそこで得られる教員の専門性とは何か」について、教員がこれまでの経験を通して、どのように教員として成長し、どのような考えを持つようになったのか」を明らかにする調査を計画しています。教員としての経験を振り返り、成長したきっかけや出来事、どのように成長したかを調べることによって、「教員自身が自らの成長や教員の専門性をどのように捉えているのか」を明らかにし、それらを促していくために何が必要なのかを明らかにして、これからの学校づくりや教員のあり方を示していきたいと考えています。 また保護者、児童生徒、教職希望の学生、一般の人々が教員の専門性をどのように考えているのかを調べ、教員が考える教員の専門性とのズレを見ることで、そのズレを埋めて、教員と保護者、児童生徒との関係性をより生産的なものにする方向性を見出していきたいと考えている。
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