研究課題/領域番号 |
21K02226
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
堀井 啓幸 常葉大学, 教育学部, 教授 (30190234)
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研究分担者 |
鈴木 守 常葉大学, 教育学部, 教授 (00367583)
白鳥 絢也 常葉大学, 教育学部, 准教授 (40600383)
宇内 一文 常葉大学, 健康プロデュース学部, 准教授 (60546266)
黒岩 一雄 常葉大学, 教育学部, 准教授 (70779545)
久米 昭洋 常葉大学, 教育学部, 教授 (90708041)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 学校運営協議会 / コミュニティ・スクール / 学社連携・融合 / 学校理事会 / 学校図書館 / 共生教育 / 学社連携(融合) |
研究開始時の研究の概要 |
(目的)本研究は、静岡県において、今後3年間に全県的な普及が見込まれる「学校運営協議会」に着目し、静岡県内におけるモデル実践の特徴や導入過程、成果と課題を把握することで、コミュニティ・スクールの前提となる「地域学校協働」の可能性と限界、教育委員会支援の在り方への示唆を得ることを目的とする。 (方法)共同研究者がコミュニティ・スクール導入に特徴をもった地域(市)に訪問し、インタビュー調査と資料収集を継続的に行い、多面的な視点で分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は、後進県と言われる静岡県の事例を中心に、コミュニティ・スクールの導入のダイナミズムを記述的に明らかにすることを目的としているが、令和4年度もコロナ禍でほとんど調査活動を中止せざるを得なかった。しかし、以下の点で、今後につながる示唆を得た。 ①研究代表者は、県内市町のコミュニティ・スクール導入に継続的に関わり、導入のための研修会やアドバイザーとして教育委員会や学校の検討会などに関わらせていただく機会を生かして、聞き取り調査を継続して行った。また、研究協力者として、国立教育政策研究所令和3~4年度プロジェクト研究「対話を通じた新しい学校空間づくりのプロセスに関する調査研究」に関わるなかで、コミュニティ・スクール導入も含めた学校建築についての全国調査を行った。鈴木は、引き続き、コミュニティ・スクール導入に関わって、公共図書館と学校図書館の連携の実態と課題について聞き取り調査を実施した。 ②「全国コミュニティ・スクール連絡協議会IN玖珠(10月)」に参加し、情報交流をする中で、国の施策として、コミュニティ・スクールの必置が考えられていることや全国的にコミュニティ・スクールの活動を母体にして自治体の地域おこしに連動した動きが活発になっていることなどの情報が得られた。また、11月にはコミュニティ・スクール先進事例として町ぐるみでコミュニティ・スクールの実践を行っている春日市教育委員会にオンラインにて聞き取り調査を行った。 ③こうした研究の成果は、堀井「公開シンポジウムまとめ 地域教育システムにおける連携・協働の課題‐地域教育システムの展望-」(173~174頁)・堀井「課題別セッションⅠ 幼稚園・保育所の危機管理を考える-施設設備の視点から-」(178~180頁)日本教育制度学会編『教育制度学研究』第29号(東信堂、2022年10月)などにまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で、調査活動はあまり進まなかったが、静岡県の多くの市町において、小中一貫教育と同時か、小中一貫教育の導入に少し遅れてコミュニティ・スクール導入が始まったことで、小中一貫教育とコミュニティ・スクールとの関係や、個別の小学校、中学校の学校運営協議会と中学校区の学校運営協議会との関わりなどをどのように捉えていくか、コミュニティ・スクール導入先進都道府県とは異なる以下のような状況や課題が存在することがみえてきた。 ・コミュニティ・スクール導入の後進県といわれる静岡県内の学校において、コミュニティ・スクールの位置づけは、小中一貫教育という縦の連携(接続)の延長線上で導入されることが多く、合議を大切にするガバナンス改革よりも地域学校協働本部の活動が重視されやすいこと。 ・そのために、地域や保護者の代表との合議の時間を取りにくくなっていること。 ・地域学校協働活動に関わる支援員は学校運営協議会を負担に感じており、その要因として、市町(村)行政における学校教育と社会教育の連携基盤の脆弱さが考えられること(縦割り行政の課題は、前述の国立教育政策研究所のプロジェクト研究においても実証された)。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度も、コロナ禍ゆえに県内外の調査研究について見通せない部分もあるが、これまで継続してきた県内各地のコミュニティ・スクールの実践研究(磐田市における小中一体型の小中一貫教育とコミュニティ・スクールの実践、図書館や共生教育とコミュニティ・スクールとの関わりなど)を踏まえ、静岡県内で一挙に導入され始めたコミュニティ・スクールの実態と課題を整理するとともに、三鷹市やイギリス(の学校理事会)などコミュニティ・スクールの先進地域や全国各地で行われている地域おこしと連動するコミュニティ・スクールの実態と課題を明らかにしたいと考えている。 特に、日本教育制度学会編『教育制度学研究』における「公開シンポジウムまとめ 地域教育システムにおける連携・協働の課題‐地域教育システムの展望-」(173~174頁)で示唆したように、「地域教育システム」に関わる考察の前提として「地域そのものをどうとらえるか」というラディカルな視点での検討も行えればと考えている。
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