研究課題/領域番号 |
21K02238
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三時 眞貴子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (90335711)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 教育史 / 20世紀初頭 / イギリス / エゴ・ドキュメント / 虐待 / 職業教育 / 福祉 / 書簡 / インダストリアル・スクール / 児童保護 / 浮浪児 / 虐待児 / 20世紀 / 19世紀 / 児童福祉 / 敎育史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、インダストリアル・スクール出身者が、退校後に学校宛に書き送った書簡を分析することで、彼らが自らの教育経験をどのように語ったのかを考察し、社会的に脆弱な子どもである虐待児や極貧児にとって、教育経験がどのような意味を持っていたのかについて、その一端を明らかにする。 今回用いる書簡は、1879年から1964年の間にマンチェスタのカトリック系インダストリアル・スクール、セント・ジョセフ・スクール(男子校)宛に送られた書簡の内、個人情報の点から利用可能な1920年までの書簡およそ200通である。近年のエゴ・ドキュメント研究に学びつつ、これらを事実ではなく自分語りの言葉として分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は、前世紀転換期に児童保護運動が世界的に展開される中、イギリスにおいてネグレクト等の虐待や極貧を理由に、行政命令で親から引き離され、数年間にわたって寄宿制のインダストリアル・スクールに収容された子どもたちが、学校における教育経験をどのように受け止めていたのかを、彼らが退校後に学校に近況を書き送った書簡と子どもたちの日常生活を記録した寮委員会の議事録を手がかりに明らかにしようとするものである。これまで、こうした子どもたちの実態は学校側が残した記録や公的な文書に書かれたこと以外は不明であった。しかしながら、日本のみならず、グローバルに子どもの貧困・虐待が問題視される今日にあって、親に頼ることのできない子どもたちがその後の人生で教育経験をどのように位置付けたのかを示すことで、貧困や虐待に喘ぐ子どもたちに教育がなし得る可能性を模索し、その歴史的知見を得ることが本研究の目的である。 今年度は、寮委員会の議事録を分析するとともに、書簡の翻訳を行った。寮委員会の議事録では、生まれつき唇が裂けている少女に対して、このままではメイドになれないことから、支払いを拒否する親に変わって学校が費用を負担し、唇の手術を行い、無事にメイドの職に就くことが出来た事例や、病弱と知的障害を理由にある少女の退学が決定した際、学校側が次の行き先を確保すべく、各地に書簡を送って行先を捜していた姿などが明らかになった。 また、書簡では、インダストリアル・スクールでの経験を良きものとして語る者や、今の自分がいるのはインダストリアル・スクールの教育・養育のお陰であるとして感謝するものがいたことが分かった。さらに、入学時の記憶がないために、自分のルーツを知らないかと尋ねる者も数多くおり、学校の記録が彼女たちの存在証明として用いられていたことも分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
利用可能な書簡は約200通ほどでであるが、約半分の翻訳を終えた所である。 寮委員会の議事録では、子どもたちの安全と健康を保持するために、学校医が重要な役割を果たしていたことが分かった。インダストリアル・スクールの教育・養育に関して、教師以外がどのような役割を果たしていたのかの整理が、今年度の新たな課題として浮上した。 これについては概ね確認を終えた所である。 書簡の分析はもう少し、ピッチを上げる必要があるが、その他の分析は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、書簡の翻訳と分析を進め、インダストリアル・スクールでの経験が子どもたちの人生にどのような意味を持ったのかについて考察を深めていきたい。 またその研究成果は国内学会で報告するとともに、出版予定の書籍(分担執筆)に掲載予定である。 今後、数年以内に、今回の研究成果をもとに単著を執筆する計画を立てているため、これに尽力したいと考えている。
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