研究課題/領域番号 |
21K02261
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
竹川 慎哉 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (30513311)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 批判的リテラシー / ダイバーシティ / 権力関係 / 教師 / 教科横断 / 教師教育 / 政治的中立性 / 教授行為の政治的中立性 |
研究開始時の研究の概要 |
今日的な社会状況と結びつきながら児童生徒に批判的リテラシーを形成しようとするとき、教師には、脱政治性とは異なる政治的中立性に基づくこと(政治性の捉え直し)と、その教育実践への具体化において発揮される教師固有の批判的リテラシーの内実を明らかにする必要がある。 本研究では、以上のような問題を2つのアプローチから解明する。 ①教師が持つべき批判的リテラシーの構成要素の解明とモデル化、およびその形成のための教師教育プログラム(教員養成・現職教育)の開発。 ②そうした教師の批判的リテラシーは、指導の場面ではどのように発揮されることになるのか(指導論)の解明(政治的中立性の捉え直しに基づいた指導論の提案)」
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研究実績の概要 |
本研究は、①教師が持つべき批判的リテラシーの構成要素の解明とモデル化、およびその形成のための教師教育プログラム(教員養成・現職教育)の開発、②そうした教師の批判的リテラシーはどのように授業づくりに発揮されるのか(指導論)の解明(政治的中立性の捉え直しに基づいた指導論の提案)を目的としている。 2023年度は上記目標②にかかわる研究を中心に行った。特に、教師の批判的リテラシーが強く発揮されるダイバーシティを保障するカリキュラムづくりに焦点を当てた。具体的には、近年のダイバーシティ重視の社会的背景を経済界の要請やそれを支える政策動向から分析した。さらに、こうしたダイバーシティ保障の動向が反映されている教育政策を分析し、それらが社会構造的な不平等の視点を欠いた多様性の包摂になっていることを明らかにした。その上で、ダイバーシティ保障がもたらす排除をつくり変える枠組みとして、政治哲学者ナンシー・フレイザー(Nancy Fraser)が提示する「再分配(redistribution)」「承認(recognition)」「代表(representation)」という3つの社会的正義の原理に依拠しながら、カナダやオーストラリアの批判的リテラシー教育の理論的中心にある「4つのリソースモデル」の意義を検討した。その結果、カリキュラムづくりや授業づくりにおいて、認知的側面(学習資源の分配/再分配の視点)、社会・文化的側面(子どもの文化的背景の承認)、政治的側面(誰が決定に参加するのかの権力関係の視点)の3つの側面からカリキュラムを構想することが不可欠であるとの結論を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究成果の発表として、1件の学会発表にとどまった。 編著者として図書を刊行予定であったが、年度内の出版にいたらなかった。 研究内容として予定していた海外調査を実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
カナダまたはオーストラリアの大学における教員養成カリキュラム及び現職教育の取り組みについて、現地調査を行う。社会的公正に立脚した批判的リテラシー教育を展開するこれらの国でどのような教師教育が行われているかを明らかする。また、申請者自身が行う教員養成での授業や現職教育において、それらの応用可能な部分を探り、日本において適用可能なプログラムのモデル化を試みる。
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