研究課題/領域番号 |
21K02272
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 横浜創英大学 |
研究代表者 |
小川 史 横浜創英大学, こども教育学部, 教授 (60442159)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 演劇活動 / 社会教育史 / 文化活動 / 青年団 / 市民演劇 / 表現 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、敗戦直後から1950年代までに、農村や工場で、民衆の手で広く行われた演劇活動の実態と性格を明らかにする。とくに本研究では、農民や労働者が自主的に演劇を作り上げようとした点に着目し、その教育的な性格を検討する。 残された資料から、この時代、演劇を通して戦後という新しい時代に向けた地域の変革、関係性の見つめ直し、習慣づけられた自分の身体のあり方への省察を、多くの人が意識していたことがわかる。それはすぐれて教育的な性格を持っていたと言ってよい。本研究では、この時期の演劇活動が持ち得た教育的な意義を解明したい。
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研究実績の概要 |
敗戦直後の演劇活動について、前年度に引き続き山形県の調査を行うとともに、新たに資料を確認できた岡山県、岩手県の調査を行った。岡山県では、当地に疎開していた劇作家の小山祐士が演劇活動を進める上で大きな役割を果たしていることを確認することができた。また、岩手県では、当地の活動が『青年演劇運動史 その10年を支えたもの』(岩手県教育委員会社会教育課編、1962年)としてまとめられ、県内各地の戦後の演劇活動について報告されていることを確認できた。前年度から引き続いて調査を進めている山形県では、米沢市で戦後活発に演劇活動が行われたことが郷土資料に報告されていることを確認した。山形市では、戦後市内の公民館館長を務め、山形の歴史に関する著作も多い後藤嘉一が、戦中に満州開拓に関わる戯曲を数編執筆していることがわかった。後藤の戯曲については、戦中の山形県における満州開拓に関わる歴史と照合する必要があるため詳しい分析は行なっていないが、極めて興味深いものである。いずれも、各地域での活動を理解するのみならず、全国的な動向を推し量る上でも極めて有益であった。 また、収集した演劇の入門書と脚本集の目録作成を進めた。1945年から1950年代全般にかけて出版された関連書籍について、著者・出版社・出版年だけでなく、目次を加えることで、充実した目録となるよう工夫を施した。目録に加えた書籍については、内容面の分析を進めたが、こちらについては、分量の多さから、完了には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
地域の演劇活動の実態が明らかになるにつれ、活動を進めた青年たちが所属していた青年団の存在がクローズアップされてきたが、その青年団の実態を踏まえなければ研究が十分なものにならないことが明らかとなったため。 青年団は地域の年齢集団であるが、この青年団の動向は独自の論理を持っている。その特徴的な点が、政治活動の忌避である。だが、そもそも地域の民主化を進めようとすれば、政治的な問題を避けることができない。歴史的な変動期にあって、このことは演劇のような文化活動の性格にも影を投げかけているのではないかと推測される。 また、新たに発掘した資料が予想よりも多く、その分析に時間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、各地域の演劇活動について調査を進めつつ、これまで検討をした山形県・岩手県・岡山県などの地域の活動について総括する。同時に、目下作成を続けている、1940年代後半から1950年代までに発行された演劇入門書と脚本集の目録を完成させる。また、地域の演劇活動の母体となった青年団の動向や青年団協議会など関連団体の動向を調査し、演劇活動に与えた影響を検討する。 以上の内容を、報告書にまとめ、発行する。
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