研究課題/領域番号 |
21K02282
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
古田 和久 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (70571264)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 教育機会の不平等 / 貸与奨学金 / 費用負担 / 経済不安 / 高等教育政策 / 高等教育の社会経済的便益 / 貸与奨学金利用 / 格差のメカニズム / 教育機会の格差・不平等 / 学歴の社会経済的収益 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,(1)子どもの学力や大学進学には出身階層間の格差がどのような形で存在するのか,(2)職業や収入を含め学歴取得の後ライフコースに対し,出身階層や学歴がどんな影響を与えているのかについて検討する。実証的データをもとに,教育を通してみた日本社会の全体像およびその変化に加え,国際比較の視点から日本社会の特徴を描くことで,社会の階層化メカニズムにおける教育の役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,(1)出身階層による教育機会の不平等,(2)教育と到達階層との関係の両者から,教育を通じた社会の階層化メカニズムを検討することであった。貸与奨学金の利用は出身階層による教育機会の不平等の改善に寄与する可能性がある一方,離学後の返済が必要であるため,個人のライフコースに短期的あるいは長期的な影響を及ぼす可能性がある。この点を踏まえ,若年層における貸与奨学金利用と出身階層等の関係を中心に検討した。 まず,前年度に引き続き,貸与奨学金利用額について「高校生と母親調査,2012」の追跡調査を分析した。その結果,家庭の経済的要因,高等教育機関のタイプ,さらには高等教育や将来の仕事に関する本人と母親の態度が貸与奨学金利用に影響していた。この結果をもとに,貸与奨学金利用のメカニズムおよび理論的,政策的インプリケーションについて考察した。 次に,上記と同じデータを用い,貸与奨学金の利用が若者の経済不安やメンタルヘルスに及ぼす影響を検討した。大学進学者はその他の進路(非進学,専門学校,短大)をとった者に比べ,自身の経済状況に対する不安は小さいが,貸与奨学金利用者は非利用者に比べ経済不安が大きいこと,家族の経済状況への不安についても大学進学者で不安が小さいものの,高額利用者では不安が大きいこと,などが明らかとなった。 さらに,貸与奨学金利用を含めた高等教育の費用負担戦略が進学格差にどのように影響しているかについて,「中学生と母親パネル調査」から検討した。その結果,社会経済的背景を問わず,家族およびアルバイトが学生生活を維持するうえで重要であること,個人は経済的コストに対処するため多様な戦略を採用していること,学生の性別や社会経済的背景によって対処戦略が異なること,などが示された。 これらの結果をもとに,学会等での報告を行うとともに論文の執筆を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学会等での報告を踏まえた論文執筆および投稿を行い,学術雑誌に掲載されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は論文の執筆を進めるとともに,本研究課題のまとめを行う予定である。
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