研究課題/領域番号 |
21K02289
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
河崎 吉紀 同志社大学, 社会学部, 教授 (30388037)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 学歴 / 学校歴 / 新聞記者 / メディア産業 |
研究開始時の研究の概要 |
給料をもらって文化生産にたずさわる人々が、日本においてどのような偏りをもつのかを把握しておくことは、メディア社会を理解するうえで必要である。そこで、本研究では、新聞記者、放送局の社員・職員などマスメディアに従事している人々の学校歴に注目する。とりわけ、日本の新聞社に多くの人材を輩出してきた高等教育機関について、その創立から今日にいたるまでの学校教育からメディア産業への影響を、歴史社会学的に解明することを目指す。まずは、時系列でその推移を追い、特定の学校で培われた思想、態度を明らかにし、その人的ネットワークのメディア産業における波及効果を明らかにする。
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研究実績の概要 |
第二次世界大戦時の日本新聞界で業務に従事した記者、編集者、営業担当などの人材について、日本新聞会の名簿を用いて、そのデータの整備を完了した。これにより、1950年版、1955年版、1960年版のデータとの比較検討を行うことが可能となり、メディア業界における学校歴の偏りなどを詳細に検討することができるようになった。次年度は1950年代の「新聞人名録」の分析を、当時の新聞業界や、教育実態などを背景に分析する予定である。 メディア業界における人材の特徴を明らかにする一方で、メディアシステムと政治システムとのつながりを、「メディア議員」という概念を用いて検討した。メディア業界出身の政治家について、事例として、ここでは戦前の千葉県選出議員である関和知を取り上げた。まず、地方紙における機能として、政論の掲載、政治的拠点の構築、政治家になるまでの生活手段という3点を指摘し、関和知が衆議院議員になるにあたって、新聞『新総房』が果たした政治的機能を明確化した。次に、政治家になってからの関和知の政治活動において、彼が野党である憲政会の立場から与党の政友会を批判し、とりわけ本会議における執拗な追及が議場で注目を集め、新聞などに報じられ、広く有権者を超えた人々にも影響を及ぼしたことを明らかにした。こうしたメディア・パフォーマンスはしかし、国民の共感である世論の喚起には役立つが、政策を冷静に吟味し多数派を形成するという輿論の構築に、どれほど寄与するのかという疑念が生じている。その解決策として、彼が初等中等教育における国民教育の充実を訴えたことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1940年代のメディア業界について、予定どおり、そのデータの整備を完了した。これにより、新聞記者の学歴、学校歴の連続的な推移を把握することができるようになった。また、メディア業界から他業界への影響の波及については、事例研究を通して、その詳しいメカニズムを明らかにすることができた。とりわけ、明治大正期における地方紙の機能、そして、その後の衆議院本会議におけるメディア・パフォーマンスが、広く大衆に報道された過程を分析することができた。
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今後の研究の推進方策 |
『日本新聞年鑑』に所収の「新聞人名録」の分析のうち、1950年代については研究成果を公表し、そこで得られた知見を基に、さらに1940年代との比較を行う。こうしたメディア業界から、政治システムへの影響の波及についても、すでにまとめられた事例分析『関和知の出世:政論記者からメディア議員へ』を中心に、学術講演会、研究会などを通して広く研究成果を公開する。
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