研究課題/領域番号 |
21K02304
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 名古屋短期大学 |
研究代表者 |
西原 麻里 名古屋短期大学, 現代教養学科, 准教授 (20623573)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 少女マンガ / 『りぼん』 / 『なかよし』 / 雑誌分析 / 作品分析 / 友愛関係 / 1990年代 / 子どもの読者 / 雑誌メディアの言説 / ジェンダー規範 / 異性愛規範 / マンガ読解 / 少女文化 / 少女同士の友愛 / オーディエンス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1990年代に発行された少女マンガ雑誌『りぼん』『なかよし』『ちゃお』の言説分析と、当時の読者へのインタビュー調査を実施することにより、この時代の少女マンガ文化が描き出したジェンダー規範や異性愛規範の様相とその影響を明らかにすることを目的とする。着目するのは以下の3点である。 ①掲載されているマンガ作品の内容と規範に関する表現 ②読者投稿欄や作家の特集ページにおける読者と送り手側とのコミュニケーションの言説 ③当時の読者による雑誌や作品への解釈 望ましい女らしさや異性への憧れといったメッセージがどのように言説化されていたか、またそれらを当時の少女読者がいかに解釈していたかを考察する。
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研究実績の概要 |
本研究では、1990年代の少女マンガ文化の代表的雑誌である『りぼん』『なかよし』『ちゃお』の3誌を対象に、どのような恋愛(異性愛)や少女同士の友愛が描かれていたかを分析し、1990年代少女マンガにおける異性愛規範とジェンダー規範に関する表現について考察する。そのうえで、当時の読者たちがどのように各雑誌や掲載作品の物語を読解していたかを調査する。こうした分析や調査から、少女マンガというメディア文化が描いた規範の問題と、その解釈について明らかにする。 この研究課題のもと、2022年度はマンガ雑誌資料の調査と作品分析を中心に研究をおこなった。 ① 京都国際マンガミュージアムや国立国会図書館に所蔵されている雑誌資料をもちいた調査を実施した。各誌に掲載された作品の情報をまとめ、各誌の表紙を手がけた作品や誌面にカラー扉ページで登場した作品、雑誌の付録を担当した作品の件数などを調査した。表紙やカラー扉ページなどを中心にみたのは、各雑誌・各時代に読者の支持を集めるうえで効果があったと考えられる作品、つまり「人気作」を把握するためである。『りぼん』(集英社)と『なかよし』(講談社)については、おおむね誌面調査を終えることができた。 ②雑誌資料の調査結果をふまえ、『りぼん』『なかよし』両誌で表紙やカラーページ、付録を多く担当していたマンガ作品をピックアップした。それらの作品のキャラクターやストーリー構成の特徴を分析し、異性愛規範とジェンダー規範について考察を進めた。作品分析には、現在手に入れることのできる単行本をもちいた。 この時点での成果として、学会での研究発表1件のほか、論文の投稿1件、調査報告の発表1件をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では、1990年代の『りぼん』と『なかよし』の読者であった人を対象にインタビュー調査をおこなう予定であった。しかし、雑誌の誌面調査や作品分析を中心におこなう必要があり、インタビュー調査にいたることができなかった。 また、作品分析の中心的課題である異性愛規範とジェンダー規範については、とくに異性愛規範に関するより詳細な分析が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は異性愛規範とジェンダー規範についてより多面的な分析を進め、インタビュー調査を実施したい。1990年代当時に雑誌の読者であった人を対象に、どのように物語や雑誌メディアに触れていたか、どのような情報を得ていたか、現在の視点から各作品をみてどのような特徴があるといえるかなど、読解に関するインタビュー調査を実施する予定である。 また、『ちゃお』の誌面分析をおこなう。『ちゃお』が発行部数を伸ばすのは2000年代以降であり、1990年代では『りぼん』と『なかよし』のほうが支持されていた。しかし、『りぼん』などよりもより年齢の若い層に読まれていた可能性があり、90年代の少女マンガ文化の多様な姿をみるうえで分析が欠かせないものといえる。 上記の研究を進め、研究成果を複数の学会大会や紀要に発表する予定である。
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