研究課題/領域番号 |
21K02322
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 九州ルーテル学院大学 |
研究代表者 |
三井 真紀 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 准教授 (80342252)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 多文化保育 / 多文化共生 / 保育 / 幼児教育 / フィンランド / まなざし / 移民 / 子ども |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、フィンランドの保育空間の分析を通し、乳幼児(0~6歳)からはじまる多文化共生の原理について読み解くことを目的とする。 保育における「学び」「政策」「まなざし」という3者の関係を軸に、世界一幸福といわれるフィンランドの保育空間を分析していく。 保育者のありようはどのような行為の生成を導くのか、家族やコミュニティ―集団と営む生活文化は、子どもにどう内面化されていくのかを保育社会学的な手法で解き明かす。 将来、日本で育つ文化や生活環境の多様化する子どもの支援につなげる研究を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、フィンランド社会における保育空間の分析を通し、乳幼児(0~6歳)からはじまる多文化共生の原理について読み解くことを目的とする。 研究では、フィンランドに暮らす移民の子どもの育ちのありようを観察し、家族や集団と営む生活文化をどのように内面化し、自己形成していくのかを保育社会学的に検証していく。 今年度は、保育における「学び」「政策」部分の基礎調査を終え、フィンランド社会が持つ、子どもへの「まなざし」との関係性について分析を進める段階となり、フィンランドにおける本調査を5週間実施した。 現地調査では、コロナ感染拡大以降に大きく変化した保育現場と移民コミュニティー集団の様相を慎重に観察しながら、保育者を中心にインタビュー調査を実施した。また、移民コミュニティーの代表者らと子育て支援についてディスカッションを重ね、本調査として十分な成果を得ることができた。さらに、移民家族へのプレ・インタビューを実施し、次年度2回目の本調査に備えた。 今後は、保育者のありようが、どのような子どもと家族の行為の生成を導くのかを分析し、家族やコミュニティー集団のもつ価値観が及ぼす乳幼児への影響との関連性について解き明したい。引き続き、フィンランド社会とフィンランドの保育文化について相関関係を考察すると共に、フィンランド社会が持つ「子どもへのまなざし」を分析したい。本研究が、多文化共生社会となりゆく日本社会の支援につながるものと捉え研究を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度の調査は計画通り進んだものの、採択年度の2021年度に、新型コロナ感染症の感染拡大を受け、初年度の現地調査が一切できなかった点が、研究全体に大きく影響している。具体的には、本調査がずれ込み、現段階での調査のデータが不足している点が課題である。研究課題は、フィンランドに渡航して初めて実現する段階的な調査が主軸であり、必須である。やむを得ない状況だと判断できるものの、現在、実施計画の練り直しをしながら最終地点に向かっている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の調査をもとに、2024年度は本調査2年目として、キーワード「まなざし」について検討するための具体的なフィールドワークを実施する。 多文化共生社会をうたうフィンランドにおいても、保育空間の中に、様々な文化間の摩擦は存在する。一方で、その克服は、個人や保育者の能力のみで進められるものではなく、家族やコミュニティー社会の中で共有され、理解されながら、解決に向かうものも少なくない。調査では、そのような隙間に暗に存在する「まなざし」に着目していく。フィンランド社会に期待され無意識に共有されていく「子ども観」「子ども理解」について、現状を明らかにしたい。そのため、ヘルシンキ大学の研究者とも議論を再開する。研究成果は、日本での研究論文はもちろん、シンポジウム開催により一般社会への発表を検討している。 日本の保育と共生の実態を理解しながら、フィンランドの保育空間を実証的に研究することにより、過去の研究において見落とされていた多文化社会における共生の原理について改めて考察することを目指す。
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