研究課題/領域番号 |
21K02327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
稲垣 卓司 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (80176388)
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研究分担者 |
樋口 和彦 広島修道大学, 人文学部, 教授 (80710110)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 愛着障害 / 発達障害 / 問題行動 / 実態把握 / アンケート調査 / 鑑別 / インタビュー調査 / 特別支援教育 |
研究開始時の研究の概要 |
支援者が発達障害と愛着障害の鑑別ができるような具体的なポイント(対応モデル)を提示・提案できれば、子育領域、特別支援教育支援の有用な手助けとなる。愛着障害と発達障害の呈する問題行動で、どんな特徴の違いが見られるのか、そして対応の仕方の違いがあるのかを理解の手助けとなる研究をめざす。 発達障害と愛着障害の問題行動は多岐にわたるため、なるべく具体的事例を挙げることで支援者が理解しやすく取り扱いやすいものとすることを念頭におき、支援方法が広がることが現場には役立つものと期待できる。
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研究実績の概要 |
申請者らは,一昨年度から子どもの呈する問題行動が「愛着の問題によるものか?それとも発達障害による特性によるものか?」という鑑別ができ,支援につなげることを目標として研究計画に取り組んできている。①発達障害と愛着障害の鑑別ができるポイントを明瞭に理解しやすく提示できるかどうか。それを②支援の場で生かされるかどうか,さらに,子育てにおいて家庭で役立つものにするために,③ペアレントトレーニングの一つの視点として生かすことができる,である。 現在研究目標の前半の段階まで進んできている。2021年当初に、以前からお願いしていた施設,保育士,児童指導員への研修と実態把握のためのアンケートを収集する予定であったが,計画段階で対象地が「新型コロナ蔓延防止地域」に指定され予定通りに計画を進めれなかった。アンケート調査と研修による情報収集を主目的としていたため2021年度当初のスタートから遅れた。当時はコロナの状況の悪化も予想されたため,島根県内の保育園,幼稚園の教員と児童指導員を対象として急遽対象を変更して研究をすすめ,データを収集していくことにした。コロナ禍の行動制限などの制約があり,当初の予定を遅れたが,島根県内で研究協力施設がありアンケート調査が実施できた。 2021年度から2022度にかけて,は「研究対象者の実態の把握」と「問題行動10パターンの鑑別の完成」の目標を立て,幼稚園・保育園職員に対するアンケートをおこなった。そして,児童福祉施設の職員からの口述・聞き取り調査を行ってきている。 今後はこれらの分析結果から支援内容を考え,支援の場で生かすこと,親の子育てに役立てる方策の検討を今後すすめたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンケート調査は島根県内の数か所の保育所(園)の保育士や幼稚園教諭140名を対象とする研修会を開催し、同意を得てアンケート調査をおこなった。140名のアンケート結果を解析して,発達障害と愛着障害の違いについて,保育の現場の保育士や教諭の視点から検討している。 そして,アンケート調査と基礎データの分析までは実施の目途が立っている。先行文献などから,35項目の問題行動をリストアップしアンケートを作成した。その結果,「発達障害と区別のつきにくい症状」では上位が,「状況によって多動であったりなかったりする」(16%),「繰り返す行動(頭を打ち付けるなど)」(16%),「なかなか収まらない激しいパニック攻撃」(16%),「何かしないといけない状況で多動になる」(15%)などであった。「対応の難しい症状」では上位が,「なかなか収まらない激しいパニック攻撃」(24%),「わざと不適切な行動をしてこっちを向いてもらおうとする」(23%),「いきなり攻撃をする」(21%),「蹴ったり、物を投げつけるなど危ない攻撃」(16%),「わざと友達に意地悪をする」(14%)などであった。 次に,実際に現場では具体的に実態把握と鑑別をどのようにしているのかを知るために,児童養護施設の職員からの口述・聞き取り調査を行ってきている。現在3施設の6人のスタッフにインタビュー調査をおこなった。結果を質的研究方法で解析している。子どもたちに接しているスタッフの支援の実態を把握することで,愛着障害と発達障害の鑑別にアプローチしている。 これらのアンケート結果は2023年日本精神神経学会総会(横浜市),インタビューによる質的研究結果は2023年第64回日本児童青年精神医学会(弘前市)において発表する準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度末までの調査結果をもとに,2つの研究結果を今年度発表する予定である。今までの結果からは愛着障害と発達障害の鑑別は難しいが,一部の特徴的な言動は鑑別する参考になる可能性を明らかにした。 今後の方針は2つある。①小学校現場ではどのように鑑別の問題を見て,対応しているのかを明らかにする。今回の調査は未就学児の問題となる言動であるため,就学後の現状の把握に発展させたい。②具体的な支援の方法について知見を得て,支援方法を検討する。学校現場で実際に関わった事例を調査し,鑑別の参考点や,支援の結果の良し悪しを把握し,よりよい支援方法を模索したい。 具体的には下記の予定で行う。 ●2023年9月まで:島根県内小学校2か所での研修とアンケート調査 対象は100名予定。 ●2023年10月まで:島根県内小学校2か所の小学校教諭に「愛着障害」事例についてインタビュー調査をし,質的研究をおこなう(4名程度にインタビュー)。
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