研究実績の概要 |
2023年度には、2022年度の同時解析の結果に基づき、研究1年目や2年目とは異なる2か園の対象児 (3歳児, 4歳児, 5歳児) が、各選択曲を用いた音楽的表現の活動を行った。対象児は、対象曲7曲 (長調4曲, 短調・わらべうた3曲) に対する音楽的表現における身体的な動きと眼球運動の同時解析に1人ずつ参加した(n=60)。同時解析は、6月と7月の11日間に11回の測定時間帯に実施した。前年度と同様の種類のデータを算出し、主に三元配置分散分析および二元配置分散分析等による定量的分析を行い、特徴量を抽出した。 2022年度と2023年度の対象園4か所(Sこども園:n=17, T1こども園:n=26, T2幼稚園:n=30, U3幼稚園: n=30)について、音楽的表現における幼児の身体的な動きと眼球運動の同時解析から算出した多様なデータに関する定量的分析に基づき抽出した特徴量による機械学習を、複数の分類器を用いて行った。動作解析の特徴量のみの場合と、眼球運動との同時解析による特徴量の場合とで、判別精度を比較した。 結果として、分類モデル訓練の結果ではSVM(サポートベクタ-マシン)が最も適合性が高かったが、機械学習による判別精度は、MLP-NN(ニューラルネットワークの多層パーセプトロン)、SVMの順に高く、身体的な動きのみの特徴量の場合よりも、同時解析による身体的な動きと眼球運動の特徴量の場合に向上した。特に、MLP-NNについては、身体的な動きのみの特徴量で55.81%であり、身体的な動きと眼球運動の特徴量で74.42%に向上した。
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