研究課題/領域番号 |
21K02369
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
佐野 美奈 常葉大学, 保育学部, 教授 (00341785)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 幼児の音楽的表現 / 全身の動きの解析 / 眼球運動の解析 / 定量的分析 / 機械学習 / 音楽的表現 / 幼児 / 眼球運動 / アイトラッキング / 動作解析 / 3Dモーションキャプチャー / 同時解析 |
研究開始時の研究の概要 |
筆者はこれまでに、モーションキャプチャーの技術を援用して、幼児の音楽的表現の発達的特徴を捉え、機械学習を用いて、その発達過程の評価方法を考案した。 その結果に基づき、本研究では、アイトラッカーによる眼球運動の解析とモーションキャプチャーによる動作解析を同期することによって、新たな動作特徴量を導出する。それらの新たな動作特徴量を用いて、機械学習による幼児の音楽的表現に関する発展度の判別手法を確立し、音楽教育支援方法の開発に資する研究を行う。
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研究実績の概要 |
2021年度の眼球運動の解析結果に基づき、2022年度は、幼児の音楽的表現における全身の動きを3Dモーションキャプチャー(MVNシステム)による動作解析、およびアイトラッキングシステムによる眼球運動の解析とをTTL信号によって同期させ、同時解析を行った。対象児を2か所のこども園の3歳児、4歳児、5歳児(n=43)として、6回の解析による取得データから、動作解析では、17測定部位の移動距離、移動平均速度、移動平均加速度、動きの円滑性、移動軌跡などを算出した。眼球運動の解析では、急速眼球運動 (saccade) に焦点化した総移動距離(振幅角度)、移動平均速度、移動平均加速度、視線の移動軌跡等を分析ソフトによって算出した。それらの算出データの平均値に関する定量的分析を、主にANOVAを用いて行った。結果として、動作解析では、骨盤および右手の総移動距離、移動平均加速度の変化、眼球運動では急速眼球運動(saccade)の総移動距離および移動平均加速度の大きさが特徴的であることがわかった。対象園による差異も見られたが、音楽的表現に用いた音楽の曲調では、短調よりも長調の方が、また快活な曲調で統計上の有意差が顕著であることがわかった。さらに、定量的分析に基づいて抽出した動作特徴量により、複数の分類器を用いて機械学習を行った結果、これまで筆者によって得られていた分類判別精度が改善されたことがわかった。以上の研究成果について、国内外の学術雑誌(査読有)や学会発表で発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で、当初の予定測定日が削減されるという事態も生じたが、予定通りの対象児について、眼球運動と全身の動きとの同時解析を継続的に行い、算出したデータについて定量的分析も行うことができた。結果として、眼球運動と全身の動きによる測定事項が増加したことによって、測定時の幼児の音楽的表現についてより具体的で精確な分析を行うことができ、機械学習の判別精度を改善する有効な特徴量を抽出することができたためである。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、新たな2か所のこども園、幼稚園の3歳児、4歳児、5歳児を対象として、継続的に音楽的表現時における眼球運動と全身の動きの同時解析を行う。それらの結果から算出したデータについて、主にANOVAを用いて定量的分析を行う。さらに、この研究の開始から3年間に算出したデータについて総合的に分析考察を行い、より有効な動作特徴量を抽出し、複数の分類器を用いて機械学習を行い、幼児の音楽的表現の発展度に関する判別精度の向上を目指す。その上で、幼児の音楽教育の支援方法を開発する。
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