研究課題/領域番号 |
21K02370
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 関西学院大学 (2022-2023) 大阪成蹊大学 (2021) |
研究代表者 |
吉次 豊見 関西学院大学, 教育学部, 助教 (00614877)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 入園時保育 / スウェーデン / 移行期 / 慣れ保育 / inskolning / 慣らし保育 / 移行期保育 / 2歳児と3歳児の接続 / 小規模保育施設 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では個の成長と集団としての活動の充実が図られる3歳児クラスに替わる移行期に着目をする。この時期は周囲の環境や一日の生活の流れの大きな変化を伴い、生活や学びの連続性においても十分な配慮を要する重要な移行期である。そこで2歳児までの入園率が80%を超え、幼保の機能が一体化しているスウェーデンの保育の実際調査を行う。 具体的には3歳児期の転入園時inskolning(入園時移行保育)、進級・クラス替えに伴う3歳児クラスへの移行保育の調査から示唆を得ると共に、日本における2歳児と3歳児の接続・移行の実態調査を実施し、我が国の移行期保育モデルを提示する。
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研究実績の概要 |
当該年度はスウェーデンにおけるフィールドワークを継続し追加資料の収集を行なった。 就学前学校の新年度がスタートする8月に訪瑞し、1歳児の新入園に伴うinskolning(新入園移行期保育)、及び2歳児から3歳児クラスへの移行について昨年度同様に以下の点の把握・分析を行なった。 ①人権尊重・生命の保持及び情緒の安定を図る養護的観点②学びの芽生えを育み、育ちの連続性を確保する教育的観点③子どもの主体としての心を育む観点、これらの3点について保育者へのインタビュー・ビデオ撮影に加え、申請者がその場で感受した子どもと保育者との関係性もエピソード記述法による間主観的アプローチを用い把握した。また、転入園児(4歳児)のinskolningについても保護者へのインタビュー及び対象幼児の観察を行い、年齢による移行時の実践内容を整理した。 2024年1月には同施設へ再訪し、8月に調査対象とした幼児がどのように園に慣れ、生活を行っているかについて調査を実施した。その際、年度の途中ではあるが、保育室の場所・担当保育者の変更が行われたことによる変化なども合わせてデータを収集した。また当初の研究計画では予定していなかったものの、inskolningの前段階として子育て支援センターに類する公開就学前学校や各地域の教会が果たす役割に着目をし、本年度は教会の取り組みについても現地調査を実施した。その結果、教会における「ベビーソング」が就学前学校への移行に有効であることも確認した。 これらの研究については、日本保育学会「保育学研究」に論文を投稿し、掲載が決定している。またその他の成果については乳幼児教育学会等の関連学会にて発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調であるが、研究初期が新型コロナウィルス禍であったため、スウェーデンにおける調査が若干遅れ、そのため国内調査の事例数が少ない状況にある。しかし当初の予定にはなかったが、移行期に影響する公開就学前学校やスウェーデン教会の取り組みが明らかになったことで、我が国への有効な示唆を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
各移行期保育のカリキュラムおよび実践モデルの提示 最終年度となるため、スウェーデンにおけるinskolningのモデルを理論的枠組みおよび実践レベルで検証・考察する。また我が国へ導入する際の具体的な方策と留意点を研究協力園である認定こども園・保育所および小規模保育施設の職員と検討し、有効性を確認する。そこで前年度までに不足した以下の点を整理する予定である。 1.日本における移行期保育の実態整理 スウェーデンからの知見を参考に日本との比較調査を実施する。認定こども園及び保育所における2歳児から3歳児クラスへの移行期、小規模保育施設を卒園し3歳児に別施設へ入園する移行期、この2点について実態を整理する。調査はまず勤務校近隣の協力園から予備的先行的に調査を実施し、質問事項等を精査しながら大規模調査へ発展させ、3歳児への移行期保育の実態を把握整理する。 2.スウェーデンにおける追加調査 1歳児のinskolningに関するデータは予定どおり収集できているが、2歳児から3歳児への以降においては未だ事例が少ないため、今年度もスウェーデンでの調査を実施する。また、移民の多いスウェーデンにおいては公開就学前学校が就学前学校への接続に重要な役割を担っており、特に保護者を対象とした言語カフェを中心に実践がなされている。しかし週に1度のプログラムという場合が多く、言語カフェに関する多くの事例を収集することができなかった。そこで最終年度は調査期間を拡大し、より多くの事例を収集する。
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