研究課題/領域番号 |
21K02371
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
オムリ 慶子 関西学院大学, 教育学部, 教授 (20193823)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 公教育省事務官ヴィットーレ・ラヴァ / ユダヤ人幼児院改革 / ローマのユダヤ人 / フレーベル・メソッド / ユダヤ人幼児院 / アドルフォ・ピック / ローマの初期幼稚園 / ユダヤ人コミュニティ |
研究開始時の研究の概要 |
4年間の研究(17K04654)では、ヴェネツィアにおけるイタリア最初の幼稚園及び初期幼稚園とユダヤ人コミュニティとの関係性を明らかにしてきたが、そこで見えてきたユダヤ人同士のネットワークが、幼稚園後進地であるローマにどのように根付いていったのかを、ピックとラヴァの関係を追うとともに、公教育省事務局長としてのラヴァの立場から見た首都ローマにおけるフレーベル思想の受容と衰退を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度では「ローマにおけるユダヤ人幼児院改革-公教育省事務官ラヴァの手紙から-」の題目で、教育学論究 第13号に投稿した。研究のための資料は、イタリア・ウーディネにあるヴィンチェンツォ・ヨッピ市民図書館の中にある古文書館「写本と希少品セクション」に収まっていた。 この研究は、公教育省事務官ヴィットーレ・ラヴァからの手紙を分析することにより、1881年から1885年までの、ローマのユダヤ人保育園をめぐる状況を明らかにするものであった。主な研究の対象は、ラヴァがイタリアで最初の幼稚園を立ち上げたアドルフォ・ピックに送った手紙から始まった。当時はまだ北イタリアのようにローマはユダヤ人に開かれておらず、田舎のような様子や、ユダヤ人が排斥される現状の中、ユダヤ人であるラヴァの苦悩が書かれており、当時のローマの様子が見て取れた。 また同じくユダヤ人であったアドルフォ・ピックとの交流は、お互いにライバル意識と反目心をもちながらも、次のような結果を得た。それは、①ラヴァとピックは互いに対立しながらも、フレーベル幼稚園の開設に力を注いだこと。②公教育事務官として幼稚園に高度な知識を持つようになったラヴァは、ピックに幼稚園の改革を指示したこと。そして、③ローマでは、ラヴァの情熱からユダヤ人の保育園改革が徐々に進んだ。ということである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年のイタリアは、まだコロナによる状況が厳しく、イタリアの古文書館を調査することが出来なかった。 また、手持ちの資料も使い終えてしまい、2022年度の研究と執筆は不可能となった。特にイタリアの古文書館に収めてある資料は、図書館のように自由に読むことが出来ず、司書に依頼して古書を持ってきてもらったり、週に3回ほどしか古文書館が開かなかったり、1日に3冊だけしか必要な古文書を読むことが出来ない状態であった。特に2022年度の3月は、すぐにイタリア訪問が難しいうえに、さらに1週間だけでは必要な古文書を閲覧することが出来ないため、2023年度はまとまった日程を得て、以前のように3週間の調査ができる状態を考えている。
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今後の研究の推進方策 |
公教育省事務官ヴィットーレ・ラヴァについての今までの研究は、アドルフォ・ピックとの手紙のやり取りが主であった。 しかし、イタリアの教育省について調べていたところ、ラヴァの研究実績がイタリア教育省図書館に収められていることがわかった。その内容はユダヤ人「幼児院」に関する数冊の記録のようであり、ラヴァがユダヤ人「幼児院」を「幼稚園」に変えようとしていたのではないかと考えた。したがって最終年度は、ラヴァの研究実績について研究し、ユダヤ人ラヴァがどのように幼稚園にかかわったのかを明らかにしたいと考えている。
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