研究課題/領域番号 |
21K02377
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
益子 洋人 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90710038)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 葛藤解決スキル / 児童生徒 / 教材開発 / 効果検証 / 社会実装 / 対人葛藤 / もめごと解決スキル / 心理教育 |
研究開始時の研究の概要 |
他者との意見の差異を,お互いに納得できる形で解決するためのスキル(葛藤解決スキル)は重要である。その教育効果に注目が集まる一方で,対話の結果を恐れてスキルを活用したがらない人々がいかにスキルを使えるようにするか,社会の中で学習機会をいかに増やすのかは,課題である。そこで本研究では,児童生徒が葛藤解決スキルを使用する動機づけの促進要因を確認した上で,家庭や地域の機関における教育効果や利便性の高い教授方法を開発し,児童生徒に葛藤解決スキルを教授するプログラムの社会実装に寄与する。
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研究実績の概要 |
当事者同士が対人葛藤(もめごと)をお互いに納得できるように(すなわち統合的に)解決する心理教育プログラムは世界各地で開発され,心理的,社会的適応に貢献することが示唆されている。本研究では,家族や地域の要因が対話への動機づけを促進することを確認した上で,家族や地域の支援機関でも活用しやすく効果的な教材を開発する。そして,得られた知見を包括し,本プログラムの社会実装に向けた効果研究を行う。 2022年度には,どのような要因が児童生徒の対話への動機づけを高めるのかについて,スキルの習得度だけでなく,①対話によるもめごと解決を育む環境で育ったか,②もめごとを対話によって建設的に解決するモデルがいたか,③もめごとを対話によって解決するという考えを相手と共有していると思えるかという三要因を踏まえた分析を行った。学校の規模や地域の特徴,学力レベルなどの異なる3つの中学校の生徒約300名の回答を分析したところ,①~③は「対話を促進する環境要因」としてまとめられることや,この要因はスキルの習得度とは無関係に対話への動機づけを高めることが示唆された。一方,中学生約770名の回答を分析したところ,対話を促進する環境要因やスキルの習得度は確かに対話への動機づけを促進するものの,対話への動機づけには社会的,心理的適応を促進する効果は見られず,むしろ対話を促進する環境要因やスキルの習得度で社会的,心理的適応を促進する効果が見られることが示唆された。さらに,プログラムを一斉形態で実施するとプログラムの効果が低下する可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
第一の要因は,新型コロナウイルスの感染拡大によって,計画の遂行が遅れたことである。当初の研究計画では,2022年度には小中高校生それぞれ約300名程度への調査を完了している予定であった。しかし,前年度時点で新型コロナウイルスの感染拡大が収束せず,学校への調査依頼を先延ばしせざるを得なかったことや,学級,学年閉鎖などにより児童生徒に協力を募れなかったことが重なり,小学校,高等学校への依頼や調査の実施が困難になっていた。 こうした状況の中で,第二の要因として,中学生を対象とした調査において,当初の仮説と異なる知見が得られた。当初は「対話への動機づけ」を高めることが,児童生徒の社会的,心理的適応を促進するために重要と考え,調査と並行して教材作成のための素材の準備を進めていた。しかし,中学生を対象とした調査においても,「対話への動機づけ」を高めるよりも対話を促進する環境要因やスキルの習熟度を高める方が,教育効果がより高まるのではないかという知見が確認され,教材の素材の修正が必要となった。 これらの要因の複合的な影響により,研究の進捗に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
教材の主な対象を,もっとも知見が豊富な中学生に焦点化する。その上で,対話を促進する環境要因やスキルの習熟度を高める素材を用いたテキスト教材,動画教材の両方を並行して作成し,中学生を養育する家族60世帯程度と,中学校4校に対し,それぞれの教育効果を測定するための調査を依頼する。 また,引き続き小学生と高校生,それぞれ約300名への調査の実施可能性を探求する。
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