研究課題/領域番号 |
21K02380
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
水野 賀史 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (50756814)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 注意欠如多動症(ADHD) / 機械学習 / サブタイプ / ABCD Study / ADHD / 安静時fMRI / ABCD study |
研究開始時の研究の概要 |
注意欠如・多動症(ADHD)は不注意・多動-衝動性を主徴とする神経発達障害である。ADHDは多様性を持つにも関わらず、臨床症状を基に一つの疾患としてまとめて扱われてきたことで、研究結果に一貫性がなく、未だにその神経基盤は十分にわかっていない。本研究の目的は、安静時fMRIによって検出される神経ネットワークに基づき、機械学習を用いてADHDのサブタイプを特定するのと共に、サブタイプごとの神経基盤と臨床的な特徴を明らかにすることである。本研究はADHDの病態解明につながるのみではなく、非侵襲的かつ客観的なADHDのサブタイプ診断法と個々の患者の病態に応じた根本的な治療の開発に貢献するものである。
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研究実績の概要 |
米国における、約12000名が参加する大規模な縦断的多施設共同研究ABCD (Adolescent Brain Cognitive Development) Studyのデータベースを活用して、教師なし機械学習によるADHDのサブタイプ研究に取り組んだ。 データをクリーニングし、ADHD群656名、nonADHD群6601名を抽出した。ADHD群に対して、認知機能検査のデータに基づいて階層的クラスタリングを行い、3つのクラスターに分類した。3つのクラスターは全体的な認知機能が高いAタイプ、処理速度が特に低いBタイプ、全体的に認知機能が低いCタイプに分類された。今後は各サブタイプごとの臨床的特徴と脳画像の特徴について検討していく予定である。 また、同様にABCD Studyのデータを活用し、COVID-19パンデミックの子どものメンタルヘルスに対する影響と、それに対する親のかかわり方の影響を調査した。4,702人の子どもの縦断データを解析した結果、COVID19パンデミックが子どもの抑うつ症状と注意力の問題を有意に悪化させること、前向きな親子関係は、思春期の子どもの精神的健康に保護的な影響を与えていることを明らかにした。この成果は2022年、国際科学雑誌Scientific Reportsに掲載された。 さらに、ABCD Studyの約12000人の認知機能と脳構造画像のデータを用いて、妊娠中の大麻使用が児の認知及び脳発達のプロセスに与える影響について検討した。その結果、妊娠中の大麻暴露群は、非暴露群に比べて、視知覚に関わる認知機能と頭蓋内容積の変化が小さいことが明らかとなった。この研究成果は2023年に国際科学雑誌Developmental Cognitive Neuroscienceに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ABCD Studyのデータを活用し、2つの学術論文を出版することができた。さらに、ADHDのサブタイプ研究についても、解析は順調にすすんでおり、一部の解析結果は出つつある状況にある。2023年度中はさらに解析をすすめて、論文を投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、各サブタイプの脳画像の特徴を明らかにするために、解析をすすめ、その結果に基づいて論文投稿を行う予定である。
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