研究課題/領域番号 |
21K02402
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
松田 侑子 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (10598717)
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研究分担者 |
濱田 祥子 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (20638358)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 保育者 / 専門職アイデンティティ / 保育者効力感 / 縦断調査 / 縦断 / 保育職継続 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,保育者における離職率の高さが問題とされており,学術的な観点から保育者の職業発達を明らかにすることは社会的要請が大きい。本研究では,保育者としての専門的成長を,「専門職アイデンティティ」を用いて多角的かつ生涯発達的に捉えていく。 具体的には,専門職アイデンティティと,保育者効力感や危機体験との関連を明らかにし,縦断調査によって保育職継続や精神的健康との因果関係を確かめる。 これらを通じて,保育者の離職抑止に対する具体的示唆を得,キャリア支援への援用を目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度は,インターネット調査会社に調査を委託し, 2時点の縦断調査を実施した。主たる目的は,専門職アイデンティティと保育者効力感の相互影響性について明らかにすること,である。 2022年5月(Time1)と6か月後の2022年11月(Time2)に,調査を実施した。Time1,Time2の調査に回答し,欠損値のない1310名を分析対象とした。調査内容は,①保育者の専門職アイデンティティ(松田, 2022),②保育者効力感(三木・桜井, 1998)である。Time1とTime2における専門職アイデンティティと保育者効力感の関連性について検討するため,交差遅延効果モデルによる変数間の因果関係の推定を行った。その結果,モデルの適合度は,χ2=35.987,df=11,p<.01,GFI=.995,AGFI=.973,CFI=.996,RMSEA=.042(90%CI=[.027―.057])であった。 まず,全体的に「迷い」と「効力感」の影響が幅広く,両者の間で相互に影響を与え合っていることが確認された。これまで,保育者効力感と専門職アイデンティティは相互に関連するとされてきたが(佐々木・大谷, 2016),今回の結果からは,保育者としての自分の喪失感や保育という仕事に対する迷いを中心とするものであることが明らかになった。また,標準偏回帰係数の値から,影響は小さいものの「承認」と「効力感」の相互影響性も認められた。これまでにも,保育者の適応において組織・人間関係の良好度が重要であることは繰り返し示されている(例えば,磯野・鈴木・山崎, 2008)。特に,職場でどのようなコミュニケーションが展開され,関係を構築しているのかを詳細に見ていくことが必要であることが確かめられたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定より,調査開始が遅くはなったものの,研究目的に照らし合わせて大きな支障はない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も引き続き,インターネット調査による縦断調査を実施し,1年後の離職の予測を行うことを主たる目的とする。 研究計画における変更点としては,調査規模が当初の想定より大きくなったことが挙げられる。従って,分析に耐えうる対象者の確保を念頭に置きながら,以降の調査で得られるデータ数を見て,規模や回数を調整していくことも視野に入れる。
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