研究課題/領域番号 |
21K02410
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
樟本 千里 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (10413519)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 思いやり / 幼稚園 / 保育者 / 言葉がけ / 指導法 / 向社会的行動 / 他者理解 / 内在化 |
研究開始時の研究の概要 |
相手の気持ちや立場を考慮しながら行動できることは、子どもの社会でも「思いやり」のある態度として推奨される。「思いやり」は、共感性や視点取得、他者理解であると考えられてきた。しかし、他者理解の課題の一つである「心の理論」の獲得のような認知発達が他者を思いやることに直結するとは限らない。本研究では、保育者の言葉がけに着目し、保育者が他者を尊重するような思考を子どもにいかに伝えているかを示すことで、幼稚園や保育園における「思いやり」育成への知見を提供する。
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研究実績の概要 |
幼児の集団教育の場である幼稚園や保育園において、保育者が言葉がけをとおして、幼児の「思いやり」的な態度と思考を形成していることを示すことが研究全体の目的である。2年目となる2022年度は、前年度に取り組んだ年中児(4歳児)クラスの担任保育者の言葉がけの分析の再検討を行った。再検討が必要になった理由は、幼稚園教育要領や、幼児期の終わりまでに育ってほしい子どもの姿の観点と、保育活動の時期による違いの分析を行うことで保育者が促す態度に変化があることを示す予定であったが、分析の結果、時期的な変化が見出せなかったことにある。保育者が子どもに促す態度は、時期によって変化するのではなく、観察日に行われている保育教育活動の内容に左右され、年間を通して繰り返し立ち現れてくるという様相であった。そのことから、分析の視点の見直しを行い、特に向社会的行動研究の視点と、社会的認知の視点からの分析を加えることで、保育者が促している幼児の態度をより具体的な分類で示す必要性があることを、研究活動を通して再認識したためである。 向社会的態度としては、①配慮(心配)、②共有、③援助(親切)、④応援、⑤協力・協同への促しが観察された。保育者は、子どもたちに向社会的態度をを促す際に、理由を同時に付与することが多いことも示された。①自分への不利益、②他者への不利益、③集団への責任・関与、④他者の気持ち、⑤自分の気持ち、自己の安全、⑦他者の安全の7つが抽出された。 年長児(5歳児)クラスの保育活動の資料に対しても、同様の分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目に行った分析の再検討を行ったため、質問紙調査のための質問項目の選定に時間を要し、当初予定していた日米の保育者を対象とした質問紙調査を先送りした。2年目に予定していた観察資料については、現在、分析中である。一方で、2年目に国際学会での報告を行うことができたことから、総合的な研究計画から進捗状況を評価すると、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も引き続き国際学会での発表を行うとともに、関連学会への投稿を行う。 最終年度となる今年度は、観察研究での知見を補完するための量的研究を進める。研究計画の時点では、日本の幼児教育の特徴を示すために日米の保育者を対象とした質問紙調査と、幼児を被験者とした社会的認知の調査を予定していた。今年度中に2つの調査が難しくなった場合には、後者の調査を優先的に進める。そうすることで、保育者の意図が子どもに影響を与えうるのかについてある一定の知見が得られる。2023年度は、幼児を被験者とした研究を推進する。
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