研究課題/領域番号 |
21K02425
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
|
研究機関 | 常磐会短期大学 |
研究代表者 |
卜田 真一郎 常磐会短期大学, その他部局等, 教授 (20353021)
|
研究分担者 |
平野 知見 京都文教大学, こども教育学部, 准教授 (10441122)
長澤 貴 鈴鹿大学短期大学部, こども学専攻 幼稚園教諭・保育士コース, 教授 (20515134)
林 恵 足利短期大学, その他部局等, 教授 (60759380)
佐々木 由美子 足利短期大学, その他部局等, 教授 (80742874)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 多文化共生保育 / 価値観・行動規範の多様化 / イスラームとの共生 / 保育者の多様性 / 保育者の当事者性 / SOGIマイノリティ / マイノリティ間の相克 / 当事者 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多文化化・多民族化に伴う価値観や行動規範の多様化により保育現場でどのような課題が生起しているのかを明らかにするとともに、少数者の属性を持つ当事者の参入により保育実践がいかに変容するのかを描出することを目的とする。こうした現状と変容の把握から、摩擦・対立・抑圧を超えて共生を実現できる保育実践のあり方を、国際的な共生課題であるイスラームとの共生も視野に入れて検討する。 こうした検討による描出を経て、当事者の立場からみえる保育現場の課題や今後のあるべきを検討し、共生を実現するための道筋を模索する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、多文化化・多民族化に伴う価値観や行動規範の多様化により保育現場でどのような課題が生起しているかを明らかにするとともに、少数者の属性を持つ当事者の参入により保育実践がいかに変容するのかを描出することを目的としている。そのため、「①保育者調査Ⅰ:移民・難民の子どもが在籍するドイツの保育現場に勤務する移民でありムスリムである保育者のライフヒストリーと保育実践の描出」「②保護者調査:①の保育現場に在籍する移民でありムスリムである園児の保護者の立場からみた園生活のありようや期待の描出」「③管理職調査:①の保育現場の園の管理職の立場から見た移民や難民、ムスリムの保育者・子ども・保護者の参入に関わる意識の描出」「④保育者調査Ⅱ:日本の保育現場におけるマイノリティ当事者である保育者自身のライフヒストリーと実践の描出」の4調査を実施予定である。 2023年度においては、①について論文執筆を行うと共に、調査結果の一部をドイツ国内の学会で発表した。また、④に関わって、「多様な学生を保育者として育てるための養成校の役割を考える」をテーマにシンポジウムを実施し、マイノリティ等の当事者性を持つ学生が多様性に基づいた専門性を獲得するための養成の在り方について議論を行った。さらに、①および④に関連して、〈性の多様性とイスラームの信仰の相克〉についての最新の取り組みを知るため、ベルリンにあるゲイフレンドリーなモスクでのインタビューを実施した。 こうした成果を含めて、大阪教育大学「保育とダイバーシティ」の科目において、カナダ・バンクーバーとドイツ・ライプツィヒに在住する日本人保護者から、各国の歴史や社会情勢がどのように子育てや保育・教育に影響を及ぼしているのかについて保護者の立場から感じていることをテーマに対話を行い、学生と共に学ぶ機会を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度については、「①保育者調査1」の論文執筆と「④保育者調査Ⅱ」に関わるシンポジウムの開催、これらを踏まえた発展的な研究課題についての調査研究の開始を行うことができた。 「①保育者調査1」については、ドイツでの学会発表を行うと共に、その議論も踏まえて論文の執筆を進めることができた。 「②保護者調査」については、学習会等の機会を通じて、検討のための視点を豊富化することができたが、具体的な聞き取り調査等は今後の課題となっている。 「③管理職調査」については、その前提となる「①保育者調査1」の論文の完成が遅れていたために実施が遅れていたが、論文の完成の目途がついたため、2024年度以降に実施に向けての準備を進める。 「④保育者調査Ⅱ」に関わってのシンポジウムの実施は、保育者養成の新たな課題を見出す機会となり、本研究における発展的なテーマを見出す議論を行うことができた。しかし、④に関わって2023年度中に実施していた朝鮮半島にルーツのある保育者と日本人保育者が共に働く園における「民族保育」に関わる話し合いおける、語りのデータについて、その分析が遅れているため、今後の課題である。同時に、さまざまな当事者性を持つ保育者の聞き取りについても2024年度以降の実施を予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
「①保育者調査Ⅰ」については、移民・難民の子どもが在籍するドイツの保育現場に勤務する移民でありムスリムである保育者のライフヒストリーと保育実践の描出についての聞き取り結果についての論文が現在、学会誌への登校中であるため、査読結果を踏まえ、論文の発表を完成させる。この成果を踏まえて、「③管理職調査:ドイツの保育現場の園の管理職を対象とした聞き取り調査」について、ドイツにおける調査担当者との打ち合わせを実施し、研究対象者の選定を行い、聞き取り調査の開始へと繋げる。また、「②保護者調査」について、検討の視点を研究者間で議論し、方向付けを行う予定である。 「④保育者調査Ⅱ」については、現在収集している朝鮮半島にルーツのある保育者と日本人保育者が共に働く園における「民族保育」に関わる話し合いのデータ分析を進める。また、SOGIマイノリティ当事者である保育者への聞き取り調査を継続し、データ収集を行う。 さらに、価値観や行動規範の多様性と保育実践のありようにかかわる学習会やシンポジウムを実施し、保育実践におけるさまざまな多様性をめぐる課題を可視化し、共生を実現するための実践のありようについての議論を重ねる。
|