研究課題/領域番号 |
21K02432
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
柳沼 良太 岐阜大学, 教育学研究科, 教授 (30329049)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 道徳教育 / 道徳科授業 / 中国 / インド / コンピテンシーベース / ウェルビーイング / 道徳科教育学 / 個別最適な学び / 国際比較 / 問題解決型の道徳授業 / 民主主義社会 / 未来志向型 / 問題解決的な学習 / 比較研究 / 指導法 / 真心 / 人格教育 / 問題解決学習 / 道徳指導法 / 評価法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、国内外の道徳教育を比較して類似点や相違点を検討し、効果的かつ普遍的な方法を探究する。諸外国の道徳教育を調査して教材、指導内容、指導法、評価法を比較考察する。次に、諸外国の道徳教育の特徴や長所をふまえ、我が国に適した道徳教育の指導法と評価法に修正し、児童・生徒の人間性・道徳性を豊かに育成できる様式に改良工夫する。第三に、開発した道徳の指導法と評価法を我が国の小・中学校で実施して、その効果を検証して国内外の学会で協議する。本研究の成果は、道徳教育に関連する国内外の学会で定期的に発表して研究協議を重ね、道徳授業の改良にフィードバックする。
|
研究実績の概要 |
当該年度は、我が国の道徳教育・道徳科授業をアジア諸国(主にインドと中国)の道徳教育・道徳授業と比較検討することを先ず研究した。各国における道徳科の教科書や指導内容、指導法、評価等を具体的に比較して、複数の研究論文にまとめた。我が国の道徳科授業が教科化されて5~6年経ったにもかかわらず、今でも旧式の心情理解に偏った授業に固着するのに対して、インドや中国などに代表されるアジアの道徳科授業は、進歩的に問題解決学習や体験学習を取り入れて多様な展開をしていることを明示した。 次に、我が国の道徳教育をアメリカの道徳教育・人格教育と比較した。我が国の道徳授業は、どうしても昔から道徳的価値を教え込もうとするコンテンツ・ベースの道徳授業になりがちであるが、一方のアメリカなど欧米はコンピテンシー・ベースの道徳授業を広く積極的に展開している点を指摘した。上述した我が国と諸外国における道徳教育の比較研究は、研究論文や著書で公刊するだけでなく、日本道徳教育学会のラウンドテーブルや道徳教育セミナー等でも広く公表し、普及に努めた。 また、今日世界的に普及しているウェルビーイングの理念を、我が国の学校教育に取り入れるためにどのような手立てが考えられるか検討した。「誰一人取り残さない」学校文化を創造するために国内外の教育実践を踏まえて、多様な道徳教育の在り方を構想している。特に、アメリカの人格教育における倫理的学習共同体の在り方を、我が国にも取り入れるべく具体的な方策を探究している。 さらに、諸外国のICT教育実践例を参考にして、我が国(岐阜、三重、富山など)の小学校や中学校の道徳科において、児童・生徒がAIエージェントと対話しながら問題解決する学習(探究的な学び)を開発し実践した。いじめ問題の解決に向けてAIエージェントと対話する個別最適な学びと協働的な学びの在り方について深く検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我が国の道徳教育や道徳科授業を世界の諸外国(主にインド、中国、アメリカ)と比較検討する研究は、これまでのところ順調に進んでいて、既に複数の研究論文やレポート、研究発表等をそれぞれ行っている。 単なる道徳教育や道徳授業の比較研究に終わらず、その指導内容や指導方法、評価法なども詳しく考察することで、それぞれの国の道徳教育における歴史的経緯や特徴、そして長所・短所にも深く掘り下げることができている。 それに対して、当初予定したいたアジア諸国(シンガポールや韓国など)との比較研究が十分にできていない状況にある。同じアジア圏の道徳教育でも、それぞれの国の事情が異なるため、指導法や評価法に違いがある諸点をもっと追究する必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
我が国の道徳教育・道徳科授業を世界各国の道徳教育・人格教育・価値教育などと比較検討するだけで終わることなく、積極的に我が国の道徳科教育授業の開発・改良・実践研究に役立てていきたい。 それぞれの国々の諸事情に応じた道徳教育を従来の型にはめて終わるのではなく、これからの時代に応じたコンピテンシーベースの道徳教育・道徳授業のあり方を国際的・学際的な見地から構築するためにどうしたらよいかについて、諸外国の研究者と協働しながら探究していきたい。 また、ウェルビーイングを実現するために、単なる我が国の道徳授業に限定することなく、広く家庭や地域社会とも連携した道徳教育の在り方や倫理的学習共同体の創り方も含めて検討していきたい。
|