研究課題/領域番号 |
21K02441
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
武久 康高 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (70461308)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 古典教育 / コンピテンシー / 古典の活用 |
研究開始時の研究の概要 |
新学習指導要領では、古典と自分自身あるいは社会とを結び付け、古典の内容を「自分ごと」化する学習が目指されている。しかし次の問題がある。 (1)育成する学力を評価する枠組みが未開発であること。 (2)〈実践的な場面で古典を活用できる力〉を育成する観点がなく、古典の学習意義を問う生徒の疑問への応答として不十分であること。 そこで本研究では、以下のことを行う。①〈実践的な場面で古典を活用する〉水準を含んだ古典読解構造のモデル化。②〈古典の内容を「自分ごと」化し、自分や社会にとっての古典の意義を考える〉資質・能力の育成に向けた授業モデルの構築、評価指標の開発。③授業モデルおよび評価指標の有効性の検証。
|
研究実績の概要 |
本年度もまず、〈実践的な場面で古典を活用する〉水準について、コンピテンシー志向のカリキュラム改革を行ったドイツの状況をもとに検討した。具体的には、Anita Schilcher und Markus Pissarek編『Auf dem Weg zur literarischen Kompetenz :Ein Moodell literarischen Lernens auf semiotischer Grundlage 文学的能力の獲得を目指して―記号論に基づく文学学習モデル―』(2013)をもとに、初等~中等教育を通じて育成すべき文学的コンピテンシーの一つとして「虚構の世界モデルの意識化」を取り上げ、その獲得に向けた長期的な文学学習カリキュラムを作成し、その中に古典学習を位置付けた案を提示した(『日本文学』2022.11)。また、「一般大学入学試験のためのドイツ語科教育スタンダード」における学習課題の分析から、そこでは「文学テクストの持つ多義性と関わりあう」能力が重視されていることを確認し、こうしたコンピテンシーが日本の古典教育でも有効であることを論じた(全国大学国語教育学会・2022春大会) また、古典読解に関わるモデルの作成については、テクストおよび自己との対話の局面をいかにつくり出すかという点に関して、竹村信治氏の古典読解モデルを参考にしつつ授業化を行い(徳島県の公立高等学校にて2023.1-3に実践)、現在、生徒の作文をもとにモデル化を行っている最中である。その成果については2023年5月の全国大学国語教育学会で発表予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は【課題1】の〈実践的な場面での古典を活用する〉水準については、ドイツにおける文学教育のコンピテンシーの在り様を分析することでまとめつつある。また【課題2】の〈古典の内容を「自分ごと」化し、自分や社会にとっての古典の意義を考える〉資質・能力の育成に向けた授業モデルの作成に関しては、すでに授業は行っており、現在、モデル化にむけた分析作業を行っている最中である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は授業モデルの作成を進め、その有効性を実験校において検証したい。
|