研究課題/領域番号 |
21K02443
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
春日 由香 都留文科大学, 教養学部, 教授 (80870344)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 児童詩創作指導 / 表現技法 / オノマトペ / 児童詩創作指導実践 / 実践知 / 教師の専門的力量 / 対話 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、研究代表者が24年間にわたって公立小学校の教育現場で実践した児童詩創作指導の際に生まれた児童詩作品343編を、①児童詩における「表現技法」の指導 ②児童詩の読み手である教師の役割 ③児童詩の書き手と教室の仲間たちとの対話の意味 の三点を柱として検討し、自己の「児童詩創作指導実践」を対象化することを通して、指導方法や教師の専門的力量の内実を明らかにする。加えて、児童詩創作指導における「実践知」を具体的に提示し、モデル化することを目的とすることにより、現場の小学校教師が「アクティブ・ラーナー」として学び続ける意欲が喚起されるような実践研究を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、申請者が24年間にわたって実践した「児童詩創作指導実践研究」について、 ①表現技法 ②読み手である教師の役割 ③書き手と教室の仲間との対話の意味 の三点を柱として検討することにより、児童詩創作指導のあり方を明らかにして、モデル化することを目指すものである。申請者は、過去に児童詩創作指導の実践をした際に児童が書いた詩作品343編を、研究の対象としている。これまで、その343編を「表現技法」を観点として分類・集計し、考察をした。この「表現技法」のうち「題名の工夫・リフレイン・連の工夫・視点・表記の工夫・比喩(暗喩・直喩)・擬人法・ことば遊び・見立て・折句」については、既に検討を終えている。令和4年度は、児童詩創作指導としての「表現技法」である「オノマトペ」を取り上げた。 「オノマトペ」についての言語学面からの研究には、多くの蓄積がある。その中でも、著書『オノマトペの歴史1:その種々層と史的推移・「おべんちゃら」などの歴史(山口仲美著作集5)』『オノマトペの歴史2:ちんちん千鳥のなく声は・犬はぴよと鳴いていた(山口仲美著作集6)』の2冊を入手して、基本資料として本研究において活用できたことは有意義であった。『オノマトペの歴史1』では、「オノマトペの種々層」を中心として古典作品や狂言、コミックなど作品別ジャンル別にとらえた時に顕著に現れる「オノマトペ」の特色・機能を解説している。『オノマトペの歴史2』では、「オノマトペの史的推移」を柱としていた。これらの知見は、申請者が過去に教室で実践してきた「児童詩創作指導」における教師の助言内容と重なることが多く、今後の研究内容に示唆を与えるものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和4年度は、戦前・戦後の国語教育資料を入手し、近年の国語教育実践資料と比較することができた。しかし、「戦前から戦後に至るまで、多くの児童詩作品においてオノマトペは使用されており、頻繁に「表現技法」として現出していることを確認したにも関わらず、「『オノマトペの効果』について教師側が意識をして助言したという国語科授業の実践記録を充分には見付けられていない」という本研究の課題を自覚することとなった。コロナ禍の影響が残って、対面での学会開催がなくオンライン開催であった事情は背景としてあるが、実践研究である以上、全国の国語教室で行われている授業実践情報を入手して、「今」の授業において「オノマトペ」がどのように教師の指導・助言として意識されていたかを調査し検討すべきであったと考える。これについては、令和5年度も引き続き、調査を続ける予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、児童詩創作指導における「虚構の詩」をテーマにする。我が国の児童創作指導においては、生活綴り方・生活作文のもつ伝統と成果もあって、「創作したこと=虚構」を書くということが、指導の中心となることは多くなかった。「見たままありのまま」書くという児童詩創作指導は令和5年度の教室においても、児童詩創作指導全体の大半を占めているといえる。しかし、ひるがえって考えると、1960年代から70年代にかけて大きな反響を呼んだ「主体的児童詩」や、「想像力」を重視した山際鈴子(2011年)と「大阪児童詩の会」などの豊富な実践は、これまでに報告されている。令和5年度においては、これらの実践研究の蓄積を整理したうえで、申請者自身が「虚構の詩」を書くという実践をした際の「児童詩作品」を検討し、その指導の意味を見い出す試みを行っていく。
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