研究課題/領域番号 |
21K02457
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
小瑶 史朗 弘前大学, 教育学部, 教授 (50574331)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | レリバンス / 歴史授業 / 食 / 歴史と現在 / オーセンティック / 教育と福祉 / 生存 / コンピテンシー / 主体形成 / 戦後史 / 社会的排除 / 生活・生存 / 歴史教育 / 個人史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、歴史教育に「生存」概念を導入することの意味・意義を解明するとともに、それを導入した歴史授業の姿とその効果を、「夜間中学校」および「集団就職」を素材にした検証授業を通じて実践的に明らかにする。加えて、他の時代・テーマに拡張し得るかについても、新しい教育課程とそれに対応した教科書・資料集等の関連も加味しながら考察を深めていく。1年目に理論構築作業を進め、2年目に授業開発と効果検証に取り組み、3年目にこれらの成果の一般化と応用についての検討を進める予定である。
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研究実績の概要 |
本年度は「生きること」と関連づけた歴史授業のあり方を実践的に考究した。具体的には「食」をテーマとした戦後史学習のプログラムを開発し、その効果を高等学校における授業実践を通じて検討した。生徒たちの食生活の実態調査を進めたうえで、戦後史を「敗戦直後」「高度経済成長期」「1970年代以降の現局面」という3つの時期に区分し、各段階における「食」をめぐる社会的状況を歴史的に検討する内容構成をとった。このうち敗戦直後の時期については、生徒たちに身近な青森県を事例にしながら食糧難に焦点をあて、そこから今日の「飽食」を捉え返した。高度経済成長期については、調理家電やインスタント食品、外食産業の隆盛などを取り上げ、「家族団らん」が広がるとともに食の簡便化が進展したことを捉え、そこから今日の「孤食」を見つめさせた。そして、1970年代以降については、食の簡便化が一層進展するとともに、「家族団らん」が崩れ始めている点に注目させ、「食」を媒介にした自然や社会・他者との繋がりを実感する機会が大きく減少していることを捉えさせた。そして、今日的な問題として「子ども食堂」を取り上げ、敗戦直後の状況と関連づけながら、その現象の「新しさ」を検討した。 以上の学習プログラムは、生徒たちの日常生活のなかにある「食」を主題化することにより、「歴史と現在」を有機的に関連づけることを企図して作成したものである。これに加えて、生徒たちの祖父母・父母の経験を組み入れることを試みた。いわば「レリバンス」を二重に起動させることにより、通常の学習より歴史への関心を高め、「歴史と現在」を往還する思考を促進させることができた。その一方で、「食」の消費に重点を置き、生産サイドの側から検討する視覚が弱く、この点に課題が残った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教育実習を統括する学内組織の役職を担当したことにより、十分な研究時間を確保することができなかった。授業開発を進めることはできたものの、高等学校に新設された「歴史総合」のなかに「生きること」を内在化させるための理論的検討を十分に進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画を1年間延長することにした。それにより、高等学校「歴史総合」の教科書編成と教育実践動向の分析を進め、「生きること」を問うことの意味・意義、「生きること」を問う教育実践のあり方を理論的に考究したい。
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