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表現遊びから音楽づくり、創作へと体系化された音楽教育プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K02478
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
研究機関京都橘大学

研究代表者

佐野 仁美  京都橘大学, 発達教育学部, 教授 (10531725)

研究分担者 岡林 典子  大阪成蹊大学, 教育学部, 特別招聘教授 (30331672)
坂井 康子  甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (30425102)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード音楽づくり / 表現遊び / 創作 / 音楽教育プログラム
研究開始時の研究の概要

本研究の目的は、子ども自身の音感を重視し、幼児期から一貫して子どもの創造性を育む教授法を開発することである。
幼児教育における表現活動には音楽づくりの「芽」が含まれているものの、小学校への接続は意識されておらず、また音楽づくりから中学校の創作への道筋も十分に示されているとは言えない。
本研究では、子どもの自発的歌唱やわらべうた、地域の祭り囃子などから抽出した旋律断片やリズムを用いた表現遊びのプログラムや、子どもの身の回りに存在する西洋音楽や日本音楽、ポピュラー音楽や民族音楽の語法を用いた音楽づくりの教材を考案する。実践を繰り返して修正を加え、体系化したプログラムを構築する。

研究実績の概要

2023年度は、音楽づくりや幼小接続についての最新の研究成果や実践事例を収集して、検討を加えつつ、研究分担者や研究協力者と協議して、5個のプログラムを考案した。その後、研究協力園や小学校の保育者・教員と話し合いを重ね、子どもの主体性をより重視する方向に修正を加えて、実践を行った。
幼児の表現遊びについては、幼児期から日本的な音やお囃子のリズムなどに親しむために、「お祭り」をテーマにしたプログラムを実践した。運動会の「よっちょれ踊り」から生活発表会に至る保育の中で、子どもたちの興味がどのように広がって、「お祭り」の実践に結びついていったのかという過程を、研究代表者による参観記録だけでなく、研究協力園の長期にわたる記録から確認することができた。
小学校の音楽づくりでは、2022年度に行った中学校の音楽教科書の分析をもとに、中学校の創作につなげるために、子どもたち自身の音感を重視した第4学年の旋律づくりのプログラムを実践した。「問いと答え」の形式を用いて、子どもたちが歌詞を考え、言葉を唱えることから旋律をつくるプログラムである。単発の実践で終わるのではなく、継続して実践を重ねることにより、子どもたちの意識や作品にどのような変化が生まれるかという点にも注目している。
さらに、本研究で考案したプログラムの一部を用いて、定時制高校でも実践を行い、それらが異なる年齢や背景を持つ人たちにも有用であることが確認できた。
実践で得られたデータは分析を進めており、その成果や研究の基礎となる音楽的な事柄について、日本音楽表現学会と全国大学音楽教育学会において口頭発表を行った他、3本の論文にまとめて発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の推進方策に従い、2023年度には、子どもたちが本来備えているはずの民族的な感覚を重視したプログラムを実践することができた。研究協力園においては、「お祭り」をテーマに、子どもたちを主体とした保育実践を行った。保育者の協力の下、地域のお祭りや神社の見学をきっかけとして、子どもたちがお囃子や歌を考案して楽しむ保育や、保護者の協力を得て他の地域のお祭りを調べる活動、楽器をつくってエイサーを踊る保育など、プログラムから様々な広がりを見ることができた。幼児期から日本人の音感覚を重視するプログラムが、小学校へ十分接続可能であることが分かり、その方向性や、内容について具体的なイメージを持つことができた。
小学校の実践においても、昨年度の唱え言葉から旋律をつくる活動をさらにすすめ、「問いと答え」の形式で歌詞をつくり、子どもたちが音に出していろいろと試しながらつくった旋律を記譜へと発展させることができた。唱え言葉から旋律をつくる実践は、研究開始の2021年度より、同じ子どもたちを対象にして試みている。これらを継続して行うことにより、多くの子どもたちの感想からは「旋律づくりが楽しい」という意識が芽生えていることが明らかになり、プログラムを体系化する意義を感じることができた。
その一方で、前年度までの実践データについても分析を進め、明らかになった研究成果の一部を学会発表や、論文の形で公表した。

今後の研究の推進方策

2024年度は、今までに行った実践の内容を吟味し、幼児の表現遊びから小学校の音楽づくり、中学校の創作へとプログラムを体系化することを中心に進める予定である。
とりわけ、小学校の旋律づくりについては、研究開始年度の2021年度より、同一の子どもたちを対象にした実践を積み重ね、プログラムを体系化することによる教育効果を確認している。そこでは、唱え言葉をもとに、発達段階に見合った旋律づくりのプログラムを考案して実践を試みている。前年度の実践結果の分析をもとに、今年度もさらに進んだ内容で高学年のプログラムを考案して、実践を行う予定である。
最終年度である2024年度は、今までの研究成果を整理し、保育士・保育教諭・幼稚園教諭養成に資することを目的として、幼児期から創造性を育むための表現活動をまとめた図書を出版する予定である。
その一方で、前年度までの実践から得られたデータについても個別に分析をすすめていく。研究成果は、学会発表、論文の形で公表する予定である。2024年度は、日本音楽教育学会、全国大学音楽教育学会における学会発表を予定し、大学紀要に論文を執筆する他、一般の保育者に向けても、講習会の形で研究成果を伝えていく。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 「フランス派作曲家菅原明朗と宮城道雄の協働―《千鳥の曲》をめぐって―」2024

    • 著者名/発表者名
      佐野仁美
    • 雑誌名

      『関西楽理研究』

      巻: 40 ページ: 33-46

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「ことばからリズムを創り出すことについて―幼小の子どもたちによる実践の試みから―」2024

    • 著者名/発表者名
      坂井康子・佐野仁美・岡林典子
    • 雑誌名

      『甲南女子大学研究紀要Ⅰ』

      巻: 60 ページ: 133-140

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「4歳児にみられる協同性の芽生えと育ち―和楽器探索の場面から―」2024

    • 著者名/発表者名
      神原雅之・岡林典子・坂井康子・佐野仁美・平井恭子
    • 雑誌名

      『京都女子大学教職支援センター紀要』

      巻: 6 ページ: 199-207

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「戦後日本の中学校における音楽創作活動の変遷――教科書の分析を通して――」2023

    • 著者名/発表者名
      佐野仁美・田中幹子
    • 雑誌名

      『京都橘大学研究紀要』

      巻: 49 ページ: 155-170

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「創造性と協同性を重視した幼児の表現遊びーー音楽づくりへのつながりを視野に入れた4歳児の実践から――」2023

    • 著者名/発表者名
      坂井康子・佐野仁美・岡林典子
    • 雑誌名

      『甲南女子大学研究紀要Ⅰ』

      巻: 59 ページ: 143-150

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「和太鼓を用いたリズムづくりの試み」2023

    • 著者名/発表者名
      岡林典子・佐野仁美・坂井康子他
    • 雑誌名

      『京都女子大学発達教育学部研究紀要』

      巻: 19 ページ: 199-207

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「本居長世作品における民族性――新日本音楽に至るまで――」2022

    • 著者名/発表者名
      佐野仁美
    • 雑誌名

      『京都橘大学研究紀要』

      巻: 48 ページ: 37-57

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「協働的な学びを育む音楽づくりの試み――和太鼓を用いた小学3年生の授業から――」2022

    • 著者名/発表者名
      岡林典子・佐野仁美・坂井康子他
    • 雑誌名

      『京都女子大学発達教育学部研究紀要』

      巻: 18 ページ: 121-130

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「和楽器を用いた表現活動において育まれる力――幼稚園年中児のオノマトペ表現に注目して――」2021

    • 著者名/発表者名
      岡林典子・佐野仁美・坂井康子他
    • 雑誌名

      『関西楽理研究』

      巻: 38 ページ: 21-38

    • NAID

      40022767110

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 「5歳児のグループ活動における絵かきうたづくり―子ども園での実践をもとに―」2023

    • 著者名/発表者名
      佐野仁美・岡林典子
    • 学会等名
      日本音楽表現学会第21回大会(京都女子大学)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「小学校低学年における旋律づくりの試み―唱え言葉を用いて―」2023

    • 著者名/発表者名
      佐野仁美・岡林典子
    • 学会等名
      全国大学音楽教育学会第38回大会(KKRホテル東京)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「音楽づくりにつなげる幼児の表現遊び――和太鼓を用いた5歳児の事例をもとに――」2022

    • 著者名/発表者名
      佐野仁美・岡林典子
    • 学会等名
      全国大学音楽教育学会第37回全国大会(オンライン)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 「小学校中学年の旋律づくりの試み(Ⅲ)――韓国系国際学校の子どもたちに焦点をあてて――」2022

    • 著者名/発表者名
      井越尚美・佐野仁美・岡林典子
    • 学会等名
      日本音楽表現学会第20回大会(浜松学院大学)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 「小学校中学年の旋律づくりの試み――替え歌を用いて(Ⅱ)――」2021

    • 著者名/発表者名
      佐野仁美・岡林典子
    • 学会等名
      日本音楽表現学会第19回大会(誌上発表)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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