研究課題/領域番号 |
21K02492
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
住田 勝 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40278594)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 協働の学び / MetaMoji / 文学テクストの読み / 語り手 / 語り / 認知的道具 / 文学教育 / 創作指導 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、文学テクストを読む力が、子どもたちが社会参加する基礎的な資質/能力としてどのような機能を有し、どのような体系と系統性を備えているかという問題を、子どもたちが生成した、文学的テクストを手がかりに調査/分析/考察する。そのために、国語教材として子どもたちが学校教育の中で出会う文学テクストが備えた「認知的道具」の体系を明らかにし(2021年度)、子どもの文学的な作文テクストを対象とした予備調査を行い、「認知的道具」の内面化のあり方について、仮説を導出する。最終的には、読解過程で出会った文学テクストの刺激が、子どもの文学的作文に反映する様相を、大規模調査によって、検証する。
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研究実績の概要 |
2022年度前半まで、研究活動はコロナ感染対策の影響を受け大幅に停滞した。学会活動もオンライン、研究出張は困難であった。何より、学校現場との研究協力体制は年度中は構築することができなかった。後半、ようやく対面学会が再開し、徐々に旧来の研究環境が戻りつつあるところで年度を終えることとなった。 そのような外的要因によって、2022年度の研究実績は極めて限定的なものにとどまっている。一つは、オンライン環境下で一つの文学テクストを協働的に読解する営みを組織し、それを分析する試みである。これは、この研究課題がベースとする、「テクストとの対話」を促進する環境として「もう一人の読者」とのネットワークがどのように機能するのかを見ようとしたのものである。ただし、今回の取り組みは、台湾にある日本語学習をしている大学生と、日本の大学生との間でチームを組んで一つの日本語の詩を読む営みであり、研究としては、第二言語としての日本語学習者と第一言語としての日本語学習者のテクストへのアプローチの違い等々、多分に複合的な研究フレームとなっており、純粋な、「もう一人の読者」の機能を観察しているとは言えない。とは言え、コミュニケーションツールとしてのオンライン会議システムと、協働学習支援ツールとしてのMetaMojiを組み合わせて運用する今回の取り組みの有効性については、一定検証できたということができるだろう。 今一つは、同じくMetaMojiツールの活用事例であるが、附属小学校教諭との共同研究で、低学年、中学年、高学年それぞれの教室の実態に合わせて、作文指導、説明文の読解指導、文学の読解指導の場面で、協働学習支援ツールであるMetaMojiを活用して、「もう一人の読者」としての教室仲間との協働性を強化することによって、どのような学習の改善が認められるかを、「パイロット実践」の形ではあるが一定確かめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度、特に前半、コロナ感染対策のもと、研究活動は大幅に制限され、出張や研究交流の場がオンラインに限定される等々、具体的な調査計画を進めることが望めない状況が続いた。後半、実質的には旧に復する流れが出てきたが、年度中途での調査依頼や授業研究への参入は困難で、十分な進捗を上げることができなかった。研究期間最初の2年間がほぼ失われた形である。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題を達成するためには、研究機関の延長も含めて今後検討する必要がある。執行できなかった研究費も多く残されており、2023年度から再スタートを切る研究計画の大幅な練り直しを企図している。2023年度、附属学校での実験授業を試行する。それは、文学テクストの読みを支える「もう一つのテクスト」としての文学テクストの構成要素を洗い出し、それへの反応特性を仮説的に措定し、子どもたちの読者反応に当てはめて、その合理性を確かめたい。例えば、物語の筋(プロット)への着眼が強い子。人物への愛着が強い子。情景への立ち止まりが得意な子。こういった読書行為における認知特性の雛形が見出されることを期待している。
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