研究課題/領域番号 |
21K02496
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
藤瀬 泰司 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (30515599)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 中学校 / 地理学習 / タックスヘイブン問題 / 歴史学習 / 市民革命 / 自主的納税倫理 / 日本国憲法 / 租税教育 / 社会科 |
研究開始時の研究の概要 |
学校教育における租税教育は,従来,社会科,なかでも公民教育の分野を中心に行われてきた。しかしながら,子どもが日常生活の中で強固に身に付けた素朴で常識的な租税意識を変革的に成長させるためには,公民教育の授業づくりだけでは難しいのではないだろうか。 本研究では,この課題に答えるために,公民教育だけでなく地理教育や歴史教育における租税学習の開発研究に取り組む。具体的には,中学校社会科を事例にして,子どもの租税意識の変革的な成長をめざす地理的・歴史的・公民的分野の授業を開発・実践することによって,民主的な国家・社会の形成者を育成する租税教育の方法を具体的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,子どもの租税意識のよりよい成長をめざす中学校社会科授業を開発することによって,民主的な国家・社会の形成者を育成する租税教育の方法を具体的に明らかにすることである。この目的に基づいて,2022年度は,次の2点について取り組んだ。 1点目は,地理的分野の授業開発に取り組んだ。従来,租税教育の授業開発は,歴史的分野や公民的分野を中心に行われてきた。本研究では,タックスヘイブン問題を教材にした中学校世界地理学習の授業モデルを開発した。具体的には,タックスヘイブン問題の原因と対策を地域空間の競合と統合として学習させることによって,「税金は市民が決めて負担するもの」という能動的な粗税意識を育てる授業を開発した。なお,本授業モデルの詳細については,2022年10月22・23日にオンラインで開催された日本社会科教育学会第72回全国研究大会で口頭発表を行った。 2点目は,上記モデルの実験授業を実施した。なお,実験授業は,熊本市内の公立中学校に勤務する社会科担当教員に依頼した。同授業は,2023年3月上旬に実施し,中学校1年生を対象に行なった。また,実験授業の効果を検証するために,アンケート調査も実施した。「事前アンケートの回答時に比べて,税金に対するイメージに変化はありましたか」という問いに対しては,「変化があった」「どちらかといえば変化があった」と回答した生徒が多数を占め,「変化がなかった」「どちらかといえば変化がなかった」と回答した生徒はほとんどいなかった。この結果に基づく限り,開発した授業モデルの効果は十分にあったと判断できる。 以上の通り,2022年度は,タックスヘイブン問題を教材にした中学校地理授業を開発・実践することにより,生徒の能動的な粗税意識を高める地理学習のあり方を具体的に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子どもの粗税意識をよりよく育てる地理授業を開発するとともに,その効果を検証する実験授業も実施できたから。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,次の2点に取り組む。 1点目は,前年度開発した地理授業の結果を詳細に分析し発表すること。 2点目は,新たに公民分野の授業を開発すること。
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